国際サイバー宇宙演習開始

今年も「Schriever Wargame」が、20日からネバダ州のネリス空軍基地で開始されます。
Schriever2012.jpgSchrieverとの名称を聞いてピンと来る方は相当の通だと思いますが、米空軍宇宙コマンドが中心になって実施する宇宙とサイバー戦に関する机上演習です
2010年に行われた米軍を中心に政府機関や民間企業関係者も数百人が参加した同演習では、宇宙とサイバーの密接な繋がりや、目に見えないドメインで展開する全く異質な戦いの様相が参加者を驚嘆させ、多くの教訓が得られた模様です(↓過去記事参照↓)
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
本年のSchriever演習には5月20-21日にシカゴで開催されるNATO首脳会議で打ち出される「Smart Defense構想」を推進すべく英豪加に加え、NATOの仏・伊・独・蘭・デンマーク・トルコ・ギリシャから軍民両方の関係者が数百人参加する模様です。
この「Smart Defense構想」は4月18日のNATO国防総会議でも推進が合意されたコンセプトで、加盟国がより重点優先国防分野に投資し、また装備調達の国際協力を進めることで大部分の能力を確保することを促す構想です。
SchrieveWgame12.jpg今時のSchriever演習は、これまで米国のみで実施してきた宇宙やサイバー戦訓練を、NATO諸国との情報共有や協力の下に行うことで参加国全体の能力を高める利点があり、「Smart Defense構想」とも合致します。また宇宙やサイバーが今後の作戦の鍵となる役割を果たすことからも、本演習の重要性は明らかです。
宇宙とサイバー戦が主題のSchriever演習ですが、今回は「アフリカの角」でのNATOによる海賊対処作戦を事態の初動シナリオに設定し、海賊はアルカイダ系の在アフリカ組織(al-Shabaab)に想定するなど、NATO諸国の関心を高める場を準備しているようです。
米空軍宇宙コマンドはwar gameの狙いを・
●演習参加NATO諸国と豪が、NATO諸国の海賊対処を支援するため宇宙で取り得る最適オプションを吟味検討する
多国間の軍民国際協力により、困難な環境下で宇宙能力の強靱性を高める方法を探求する
●海賊対処作戦支援のための宇宙アセット防御の問題点や課題を明らかにする
宇宙ドメインでの防衛とサイバー戦の作戦的融合について検証する
●広範な国際協力が宇宙作戦で有益であることへの理解を深める
USAF Space Commandの関連サイト
→http://www.afspc.af.mil/news1/story.asp?id=123298318
NATOの関連サイト
→http://www.act.nato.int/index.php/activities/seminars-symposia/schriever-wargame-2012
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Cyber-warfare.jpg先日、欧米諸国間ではサイバー関連の情報共有は容易だが、日本や韓国は情報へのアクセス許可が難しいとの米国防高官の「本音」発言を紹介しました。
でも、国の統制が崩壊寸前のギリシャやイスラム勢力が力を持つトルコと演習が可能で、日本とは難しいのでしょうか??? 
案外、日本側の腰が引けてるのかも知れません。旧態然とした思考の議論しかできない人が多いからかも・・・。
「日米サイバー協議の壁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-13
「サイバーの多様な課題と視点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-25
「サイバーと宇宙を空軍大将が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24-1

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