米空軍協会冬総会で不協和音封じ

schwartzAFA.jpg23日から米空軍協会の冬イベントAir Warfare Symposiumが、フロリダのオーランドで開催されているようで、米空軍高官の発言が軍事情報サイトに掲載されています。週末にかけ、軍需産業関係者の発言も発信されると思います。
予算厳しき折、また削減方針が明らかにされた後の総会ですので、空軍内の不協和音に配慮し、方針に理解を求める発言が多いようです。2月23日付「Daily Report Archive」より
シュワルツ空軍参謀総長は
●(導入が遅れるF-35の州空軍や予備役空軍への配分を巡って対立がある件について、)どのように小さな空軍を形成するかに関して同意が無くても、より劣る空軍になることは避けなければならない
●(厳しい予算で変革が求められる中、)一体感が損なわれる様な状態では空軍はやっていけない仲間意識と共鳴した意見を大切にすべき時である。
●現役と予備役の人員削減を同時並行的に相応の割合で行うが、全てが完全な満場一致で出来るわけではない。空軍は求められる必要不可欠なエアパワーを提供するため、兵士と来場の皆さんに計画に従ってもらわなければならない。さもなければ外部の力に引き裂かれてしまう
海外緊急作戦用(OCO)の予算
Schwartz.jpg海外緊急作戦用(OCO)の予算を、基地機能維持予算に振り向けなければ基地の態勢維持が難しくなりつつある。我々はOCO予算のどの部分が削減可能か分析を行っている。
●これまでもOCOの削減を進めてきたが、2014年までにはOCOを完全に基地予算に振り向けなければならなくなる。同様の厳しい選択を今後も続けなければならない
軍需産業に対し
軍需産業にも同じ船に乗ってもらう必要がある。予算状況に鑑みて、産業界にもコスト削減とスケジュールを守るようお願いする。
●コスト超過などにはボーナスはない。空軍も要求の平準化を図るよう努力する。
C-27の運用停止(廃棄か)
●私は、当時の陸軍参謀総長であったケーシー大将とC-27の維持運用を引き継ぐにあたり、これを投げ出すようなことはしないと約束した。しかし残念ながら、その約束は$487 billion削減の前の話なのだ。
●これまでもそうであるように、C-130がC-27の任務引き継ぎ、陸軍が必要とする直接的な時間的余裕のない支援任務を確実に実施する
northPACAF.jpgノース太平洋空軍司令官
●中国空軍の装備は着実に近代化が進んでいるが、依然大部分の装備は老朽化が進む従来型装備である。同時に第3、第4世代機の近代化も進めている
●ステルスと言われるJ-20戦闘機が盛大に飛行試験を開始しているが、中国がこれを部隊配備して使用するにはまだ時間が掛かるであろう
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予算削減の懸念を払拭するためか、現場に近いノース中将が中国の脅威を控えめに説明しているところに、予算問題の複雑さを感じます。
SchwartzAF2.jpgシュワルツ空軍参謀総長の訴えは、空軍内部の深刻な対立を伺わせます。それも戦闘機操縦者間の・・・。恐らく軍需産業を巻き込んで、空軍内での組織防衛合戦が始まるのでしょう。
状況の変化が見えず、過去の戦いに生き、内輪で縄張り争いをするのは軍人のサガでしょうか。
シュワルツ空軍参謀総長特殊部隊のC-130パイロットで、戦闘機パイロット以外で初の空軍トップです。また、就任後3年を越え、在職期間史上最長を更新中です。
大統領や国防長官の目に叶う先見性のある戦闘機パイロットが見あたらないのでしょう・・・。「(戦闘機操縦者が支配する)米空軍は、その成功の犠牲者」です。
「C-27輸送機をご存じ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「有人爆撃機は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04

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