「戦闘機を買うなとは言わないが、情勢を見て正しい判断をすべきだ。今の状態は良くない」
1月17日、Air-sea battleを提唱したシンクタンクCSBAが、同様の脅威認識を元に対イランA2ADを見据えたレポート「Outside-In, Operating from Range to Defeat Iran’s Anti-Access and Area-Denial Threats」を発表しました。
既にいろいろなサイトで紹介されていますが、「military.com」の記事が分かりやすかったのでつまみ食いでご紹介します。
CSBAの関連webページは
→http://www.csbaonline.org/publications/2012/01/outside-in-operating-from-range-to-defeat-irans-anti-access-and-area-denial-threats/
関連過去記事
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
同レポートの筆頭執筆者は、Air-sea battleレポートにも参加した元B-52操縦者で退役大佐のMark Gunzingerで、今回もレポートの狙いを「現在の対イラン議論のためでなく、イラン軍備増強に対応する長期的デザインの議論である」としています
1月5日発表された新国防戦略とも共鳴する内容(艦載ステルス長距離無人機、潜水艦発射巡航ミサイル、水際侵攻能力、特殊作戦に焦点)で、新戦略と具体的施策とをリンクさせる役割を果たしたい、とも述べています。
イランA2AD対応の3ポイント
1.イランのミサイル射程外に
●イランの弾道ミサイル等の射程外の基地を拠点と考え、サウジ東部、アフリカの角、セーシェル島、トルコ等に分散して全周に拠点を置くべき。その拠点のBMD対応も強化すべき
●指揮統制施設やISR集約センターなども射程外を考慮すべき
●派生事項として、イラン国境から100nm以内の大規模共同運用指揮所など脆弱な施設への投資は再考し、ネットワークを活用した分散を考慮すべし。
(米軍基地に押し掛けて嫌われている国もあるが・・・)
●上記のような従来投資の変わりに、BMD、特殊作戦部隊、パートナー国訓練強化に力を注ぐべき
2.外から徐々にではなく中枢を一挙に
●地上部隊が外縁から中心に攻め上がるのではなく、ペルシャ湾より遠方の全周から、敵の中枢となる指揮所やネットワークを初動から一気に撃破するOutside-Inの発想が重要
3.沿岸の島や拠点制圧も重要
●着上陸地上戦力により、イランがA2ADの目標照準に利用する島や沿岸の拠点を制圧すべき
その他
—イランの核兵器使用能力を排除。ただし、核兵器保有を阻止することがまず重要
—イラン兵器で武装したイラン親派(ヒズボラ等)も排除にも留意
—イラン内部での革命を促進
—イラン政権による侵略準備に経済的負担を課す
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「戦闘機を買うなとは言わないが、情勢を見て正しい判断をすべきだ。今の状態は良くない。」
“We’re not saying don’t buy fighters in the future, we are saying, ‘take a look at the mix and make sure it’s right.’ Today it really isn’t・・・・・・”
シンクタンクCSBAの国防省への影響力がどの程度維持されているかは不明ですが、新国防戦略も統合のコンセプトも、CSBAが提示した視点を踏まえた形になっていることは確かです。
なぜか上の言葉が胸に染みます・・・。