AFマガジンが「Dual Capable」との記事を掲載し、米空軍の核任務と通常戦任務の両方を担う爆撃機B-2(76機)とB-52(20機)部隊を紹介しています。
記事全体は機体年齢が50歳を超え、2万時間以上の平均時間を持つB-52の内容が多くなっており、戦略的な抑止任務のみからアフガンでのCAS(近接航空支援)にまで任務を拡大していく過程で生じる文化や組織の変化が描かれています。
また更に、ロシアとのSTART後継条約により、2018年2月までにB-52の核任務可能機を30機以上削減しなければならないことが説明されています。
ところで今日はB-2をピックアップ
●Global Strike Commandに所属するB-2は第509爆撃航空団に所属し、モンタナ州のWhiteman空軍基地を拠点として米空軍保有20機が運用されている。
●昨年3月開始の対リビア作戦緒戦では、3機のB-2が12のタイムゾーンを横断して飛来し、リビアの空軍基地の強化格納庫、地上航空機、滑走路等々50目標に精密攻撃を加えた。
●米空軍が所有する20機のB-2爆撃機の内、現在部隊で使用可能なのは15機である。残りの5機は、3機が定期修理中、1機がグアムでのエンジン事故の修理中(2013年以降復帰予定)以降、そして1機が加州で試験用に使用されている
●部隊で使用可能な15機の米空軍目標稼働率は57.9%である。つまり、7~8機のみが運用可能であることを目標レベルに於いているのである。20機保有で僅か7,8機である。
●海外への展開等を考慮すると、Whiteman空軍基地での飛行訓練や要員養成は更に限定された機数になる。爆撃航空団幹部は「5機を確保し、4機で訓練を計画、1機を予備に考えていたが、最近は3機で訓練、2機を予備にしないと計画が成立しない」とこぼしている。
●少数機で既に生産が終了しており、運用開始から20年近く経過していることから部品の調達が困難になっている。更に最近、兵站支援が民間委託業者から政府機関へ移管されたことにより、兵站支援のレスポンスが低下してる。
●このような状況にB-2だが、地域コマンドからの要望は増え続けている。15機の部隊保有機に対し、約4倍に当たる44~48機の派遣要求が部隊に寄せられている。
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B-52の方は米空軍の目標稼働率が74%で、目標を上回る運用が可能で、50歳を超えても元気なようです。
リビア作戦への参加が3機。空中待機の予備機や地上でのバックアップ機を考えると、B-2はこれが精一杯の対応だったのでしょう。
1月号には、B-2の混乱した開発調達経緯をたどった記事「Black Bomber Blues」も掲載されており、「反面教師」としてB-2が取り上げられています。
米国時間5日にパネッタ長官等から発表の戦略Reviewと2013年度予算案では、爆撃機はどんな影響を受けるのでしょうか?
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
「補足米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2
「次期爆撃機に有人型は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1
「序論:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本1長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本2長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1