海兵隊が西太平洋分散配置へ

GilardAUPM.jpg今週、オバマ大統領と豪のギラード首相(女性)が、豪北部に海兵隊部隊を駐留させる事を発表する模様です。また沖縄海兵隊の移転関連で、グアムに移転するのは「司令部要員中心」だけでなく、一部の戦闘要員を含む要員の移転計画が練られていることが明らかになったようです。
日本で報道される「普天間問題」の視点ではなく、米国の軍事戦略の視点から見ると2つの動きは極めてシンプルに整合が取れています。
つまり、西太平洋地域で米軍の行動を拒否・妨害できる能力を高めている中国軍を念頭に、海兵隊の拠点を分散して弾道ミサイル等での壊滅的被害を減じる狙いが背景にあります。
それぞれの報道を確認します
海兵隊が豪北部に常駐化
●11日付「DODBuzz」や12日付毎日新聞によれば、11日付シドニーのSydney Morning Herald紙は、16日からのオバマ大統領の訪豪期間中に、米豪首脳が豪州北部ダーウィンに米海兵隊を駐留させると発表する。豪州での米軍戦闘部隊の本格駐留は初めて、と報じている。
Sydney Morning Herald.jpg常駐する海兵隊員の規模は不明基地は新設せず、ダーウィン近郊にある約4500人収容の施設を利用するが、余剰スペースが約200人分しかないため増築される。3月時点で豪州に駐留する米軍兵士はわずか127人。大半が豪中央部パイン・ギャップにある米軍通信基地で任務に就く空軍関係者とみられる
米海兵隊は、3分の2が太平洋周辺に展開し、中でも沖縄とグアムに集中している。一方、中国軍は精密誘導弾導入や弾道ミサイルの飛距離延長などに力を入れている。
●豪議会で与党と連携関係にある環境政党「緑の党」は駐留米軍の規模拡大に強く反対しており、それが基地を新設せず、増築にとどめるという判断につながったとみられる。
沖縄から戦闘部隊もグアムへ
13日付毎日新聞は米政府筋の話として、沖縄所属海兵隊1.7万人の中から8000人をグアムに移転させる部隊の中身に関する計画を報じている
●今回判明した計画概要では、移転される海兵隊の総数(約8000人)に変更はないが、これまで司令部要員中心としていた方針を変更し、歩兵、航空、後方支援の各部隊から要員の一部も
グアムに移る事になっている。
3rdMarine.jpg●在沖縄海兵隊全体の指揮を執る第3海兵機動展開部隊司令部の中枢機能はグアムに移転し、司令官(海兵隊中将)もグアムに移る。だが、傘下にある第1海兵航空団の司令官(海兵隊少将)は沖縄に残り、航空団司令部が改編された上で存続する見通し
●また、戦闘部隊である第3海兵師団からは歩兵部隊2個大隊(約1600人)程度がグアムに移るとされている。
●移転計画は海兵隊が作成した原案で、パネッタ国防長官の承認待ちの状態。現在、米議会は国防費の削減を求めており、議会審議の過程で計画が修正される可能性もある
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毎日新聞は当然、「沖縄の負担軽減につながる可能性も」、「沖縄が求めている米兵絡みの事件や事故の減少につながる可能性も」、「実質的な兵員削減の規模は不透明」とのコメントも忘れていませんが、「中国軍の脅威を念頭に海兵隊を分散」との視点をキチンと前面に出した正確な報道ぶりです。
海兵隊だけが話題になっていますが、以下の過去記事でも紹介してきたように、豪では米海軍部隊のプレゼンス強化についても進展があると思います。今週後半のニュースに注目したいと思います。
「米豪が同盟60周年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-17
「米豪が新協定締結へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「豪との関係強化へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29

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