米が台湾の最新F-16要求却下か

F-16.jpg14日付「Defense News」記事が台湾国防省関係者の発言として伝えるところによれば、台湾が2009年から米国に求めてきた66機の最新F-16C/D Block 50/52sの売却に関し、11-14日の間に台湾を訪問していた米国防省代表団が応じられない旨を台湾側に伝えた模様で、代替案として台湾が保有するF-16A/B型の近代化改修を提案したようです。
米側一行は、同期間開催されていた台北航空宇宙防衛展示会(Taipei Aerospace and Defense Technology Exhibition (TADTE))にあわせて訪台していたようです。
一方、在台湾の米国大使館に当たる台湾米国研究所(American Institute in Taiwan (AIT))関係者は、「何の決断も成されていない」と否定しているようです。なお、台湾からの66機の最新F-16の要望は、60機のF-5 Tigersと同じく60機のMirage 2000の引退に伴うものです。
記事よるとF-16A/Bの改修提案は・・
●中東のUAEが保有する最新のAPG-80 AESA-equipped F-16E/Fsに次ぐ能力を提供
最新対空レーダー:Northrop Grumman’s Scalable Agile Beam Radar、またはthe Raytheon Advanced Combat Radar(米国のF-16改修計画と同じモノ)
電子戦ポッド:ALQ-211 Advanced Integrated Defensive Electronic Warfare Suite pod
爆弾搭載量を倍増?:BRU-57/A Smart Twin Store Carrier
新格闘戦ミサイル:new AIM-9X、レーザー誘導爆弾:GBU-12 Paveway II、ヘルメット搭載照準システム、デジタル警戒警報装置
エンジン性能向上策は含まれない。部品交換のみ。
担当のLockheed Martin広報官は・・・
taiwan flag.jpg●戦闘機の主力センサー更新を軽く見てはいけない。センサー、兵器、表示装置等々をトータルで更新し、機体全体の能力向上を図る。台湾国営のAerospace Industrial Development Corp. (AIDC)と共同で事業を進める。
●一方で、F-16C/Dを提供しない事により、F-16の長期的生産ライン維持がより困難になり、関連する数千の関連企業への影響も小さくない。オマーンとイラク空軍がF-16に興味を持ち、議会でも検討しているようだが・・・。
複数の関連専門家は・・・
●オバマ大統領が来年の大統領選挙をにらんで売却に関する決定を覆す可能性は十分にある、と見ている。66機のF-16生産は、約16000人の雇用と600億円の税収を意味し、その多くが選挙戦の鍵を握る加州、コネティカット、フロリダ、メリーランド、オハイオ、テキサス、ユタ州に関連しているからである。
●この米国による要求拒否により、台湾国営のAIDCは計画中の国産IDF戦闘機71機の能力向上の更なる拡大を要望するだろう。
中国は米国債の8%を保有する世界最大の債権国であり、中国からの圧力には頭をたてるしかない。。。
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米国債を多量に保有しているから・・との直接的な説明には無理があると思いますが、両国首脳の相互訪問の日程もあり・・。
IDF Taiwan.jpgまた、あれだけ大陸に近接し、中国側に大量の弾道ミサイルが蓄積されている現状からすれば、台湾に戦闘機を提供しても???・・と個人的には思いますが・・。台湾の山岳地帯に大量のロケット弾やミサイルを配置や秘蔵して、中国沿岸の経済中枢に照準を定めたりとか、非対称の方策により中国への抑止力を確保した方がベターかと。
弱者の兵法にも目を向けるべきと・・・。
「米は台湾に最新F-16売却するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-23
「台湾が対空母ミサイルを披露」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-11-1
「台湾空軍の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-14
「米中軍事対話と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11

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