25日、マレン統合参謀本部議長がForeign Press Centerで、今時の訪中やアジア諸国との関係について語りました。
中国との関係強化とアジア諸国へのコミットメントの両方を追求すると述べています。これまでもご紹介してきた内容ですが、国別に整理のため取り上げます。米国防省HP記事より
中国について
●5月にワシントンで今後の議論の基礎的枠組みを形成し、対話の継続や明らかな共通課題である海賊やテロ対応について協力して行くことになった。
●オバマ大統領と胡錦涛主席の間で両国の軍事的関係を進展させる事で合意しているが、同時に両国の緊密な協力関係を阻害する正に現実の課題も存在している。台湾への武器供与、中国沿岸の公海での偵察活動、中国の恫喝による南シナ海領有権主張、公海上の自由航行の妨害等々
●不同意部分があるのは健全な2国間関係の表れとも言えるので、今後両国関係が発展し、信頼レベルが向上することを期待している。最近の歴史に信頼関係の基礎となるものがないことから、中国との関係進展にはまだまだ長い道のりが待っている。
韓国について
●韓国は米国の活動を、アフガンをはじめ世界で支えてくれている。我々の朝鮮半島におけるコミットに揺るぎはない
●北朝鮮は再び挑発的な行動に出ようとしているように見える。韓国指導者はこれまで強い自制心を持って対応してくれたが、北がこれを南の決意不足と見なすのであれば大きな間違いである。我が同盟関係の能力は十分である。
日本について
●引き続き自衛隊の作戦能力向上に共に取り組んでいる。
●先日、震災後初めて現地で状況を確認したが、その復興の素早さと出来映えに驚嘆した。また米国部隊の支援活動を自衛隊が高く評価してくれていることを喜びとしている。
豪との関係について
●相互運用性、透明性、意義ある全領域における共同作戦能力を備えるもう一つのモデルとなるのが豪との関係である。
●より高い共同作戦、訓練、人員の交流を追求していきたい。
インドについて
●インドとの関係においては、非拡散態勢、対テロ、世界の公共財保護等について協力関係を強化していきたい。
Philippines, Thailand, Vietnam, Malaysia, Pakistan, Indonesia, Singapore等々とは
●国防協力や演習の拡大推進し、共通の脅威へ共に対応したい
共通事項
●アジアの国々には米以外との隣国との関係強化を推奨推進していく。2国間関係だけでなく、多国間の関係強化も歓迎する。これらは相互理解だけでなく、地域の規範や相互運用能力を高める事に繋がる。
●米国はアジアの多国間枠組みや地域の枠組みとの協力を重視していく。我々はパシフィック・パワーであり続ける。この緊要な地域での平和と安全確保への関与を縮小することはない。
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強固な関係と見られている豪との関係ですが、26日訪米中のスミス豪国防省がABCテレビに対し・・・
●F-35の開発やコストの状況に鑑み、現時点では14機の注文しか確約できない。我々は本計画にコミットしていくがそれ以上のオーダーについては現時点で確約できない
●豪はF-35開発の遅れやコストの高騰を非常に懸念しており、この件をパネッタ国防長官や関係交換にも伝えるつもりである。
F-35は、当初の1機あたり55億円程度から80億円程度にまで価格の高騰が伝えられており、未だにどの程度にまで上昇するか見通しが立っていません。
日本と韓国に触れる場合、韓国に先言及する流れが出来つつあるように思います。仕方ない気もします。以前「震災モラトリアム」のごまめ扱いですから・・・。
会見の中身については、フロノイ次官がJohns Hopkins大学で行った講演とほぼ同じだと思いました。
「2+2は震災モラトリアム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-22
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「フロノイのアジア政策授業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30