Air-Sea Battleの検討において、Resiliency(打たれ強さ)の向上が重要な課題であることをしつこく取り上げ、例えば米軍事雑誌の「日本と韓国の飛行場被害時の代替飛行場確保が鍵。そのため米空軍は、アジア各国の飛行場施設の再調査を行っている。」といった記事をご紹介してきたところです。
具体的には
●昨年4月にインドネシアで実施されたCope-West10演習で、同国ハリム空軍基地に展開した米空軍のC-130が飛行場施設等を確認。
●サイパンやテニアン、タイ、豪北部の飛行場、ベトナムのタン・ソン・ヌット、パキスタンのペシャワール、フィリピンのクラーク飛行場等々が同上の再確認対象
●米海軍もベトナムのカムラン湾に興味を持っているが、ベトナムが中国との関係を危機にさらして米国に使用させるかは未知数
・・・といった具合です。そんな中、以下のような記事を見つけ、まんぐーすは思わずこれもそうだ・・と勘ぐった次第です。
「これ」とは、第3回のブルネイ国際国防展示会(BRIDEX:Brunei Darussalam International Defense Exhibition 7月2日~9日)のことで、本年はブルネイ軍50周年記念行事の一環として盛大に開催され、約30カ国から160もの企業や国が展示やプレゼンを行い、計150以上の国、企業、団体が代表団を派遣した模様です。
Air-Sea Battleとの関連ですが(米空軍HP記事)
●米空軍三沢基地所属のF-16とハワイ・ヒッカム基地所属のC-17輸送機が、本イベントにデモンンストレーションのために参加し、F-16に至ってはデモ飛行専用チームが派遣され、8日間毎日派手なデモ飛行を行いました。
●C-17もその巨大な機体で会場上空に複数回デモ飛行したようです。もちろん両機種とも飛行の後は地上で展示され、観客の皆さんを楽しませたようです。
以後はブルネイ基本データと邪推ですが・・
●ブルネイは人口40万人の南シナ海沿岸国で、大量の石油・天然ガス埋蔵・産出国。石油等輸出で外貨を稼ぎ、所得税無し、医療は無料、ただし食料はほぼ輸入。
●ブルネイの輸出先1位は日本(総輸出額の46%。石油・天然ガスが主)、2位は韓国で11%
●84年にイギリスから完全独立もイギリスの保護領で英国陸軍が千名程度駐留。実態は王族の絶対君主制に近い政治態勢。
●軍は 陸海空三軍の合計約8千人(陸軍:約5千人、海軍:約千人、空軍:約千人、またグルカ兵約3,050名(現役約千人、退役約2千人)が王宮等主要な建物の警備を担当
●海軍は少数の沿岸警備と油田警備能力、空軍はヘリと輸送機と練習機を保有。
●南シナ海沿岸国で、資源も十分で飛行場があれば、当然Resiliency向上の為の前方展開飛行場や代替飛行場として展示会場の飛行場は期待されていると思料される。
●この展示会を利用して戦闘機と輸送機の両方を送り込み、かなりの頻度の離発着を行うことにより飛行場の特性等を把握し、地上支援能力を確認したものと推測
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ブルネイと言えば・・その昔の週刊誌ネタで、「某女優?がブルネイ王室の○○王子のいとこの親戚と一夜を共にして・・・」との売名記事?が思い起こされます(まんぐーすだけか!?)。
しかし地図を一目見れば分かるように、いつ中国からちょっかいをだされてもおかしくない位置にあります。もしかしたら・・既にハニートラップ攻撃に王族の皆さんは襲われているかも。
三沢F-16の連日のフライトが有効であったことを祈念いたします。
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「Air-Sea Battleの状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「Air-Sea Battleの起源」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-1
「太平洋軍のAir-Sea Battle検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05