後半MQ1→MQ9→Gorgon Stare, MQX

predator.jpg4月号の「AirForce Magazine」に「The Reaper Harvest(リーパー無人機の収穫)」との記事が掲載され、ISR運用の中核たるMQ-1プレデターやMQ-9リーパーの世代交代、次なる期待を背負った画期的映像ポッド(Gorgon Stare sensor pod)の開発状況等が紹介されています。以下ではプレデターはMQ1、リーパーはMQ9と省略して記述します。
昨日紹介した現状と今後の大きな方向性に続き、後半の本日は将来計画の課題、新センサーPOD、そして拒否戦略空間と無人機についてです。
立ちはだかる課題
Cyber2.jpg●一方で大量の動画等情報の伝達には使用可能周波数の制約制限という課題がある。今後は無人機が収集したデータ全てを地上に送信する現方式を、機上で圧縮や処理する方向で再検討する必要がある。同時にデータのサイバー攻撃からの防御についても神経を使わなくてはならない。
●「前半」で触れた情報分析のPED(processing, exploitation, dissemination)の省力化も課題である。「我々は機械やコンピューターを訓練してパターン認識力を向上させ、最終部分だけを人間がチェックするような仕組みを考えなければ」と副参謀総長は述べた。
●「一人の地上操縦者が複数の無人機を操縦する事を可能にする取り組みは順調に進んでいる」と米空軍無人機特別チームのギア大佐(Col. James R. Gear Jr., the head of the Air Force’s Remotely Piloted Aircraft Task Force)は説明してくれた。
期待の新センサーPODは
gorgonstare2.JPG●本年1月、Gorgon Stareの試験状況に関する資料がリークされ、依然多くの課題を抱えていることが明らかにされた。報道によれば、同センサーは赤外線センサーの能力が低く、地上兵士が使用する映像端末RVTとの相互運用性が不十分で、システム全体の信頼性が低い等の評価を与えられている。
●これに対し米空軍報道官のジョンソン大佐は1月25日にコメントを発表し、「現場指揮官の要求に応えられるまで装備品を配備することはない」と述べつつも、「我々はシステムの3つの問題に取り組んでおり、部隊配備の予定時期には遅れはないだろう」としています。
中国等の拒否戦略空間では
MQ-X.jpg●将来の無人機によるISRの課題は、強固に防御された拒否戦略下の環境で運用できるかにある。デプテューラ元空軍ISR部長は「強固な防御網が敷かれた環境下では、MQ1やMQ9は(撃墜され)雨のように空から降り落ちるだろう」と警告している。
●またギア大佐はMQ1とMQ9の次のMQ-Xには「電子妨害対処能力、電子識別能力、更に全天候飛行能力も求めたい」と述べ、アフガンの寒冷地域でアイシングの問題が大きいことを示唆した。
●空軍は現在、長距離攻撃システムを一連のファミリーととらえ、複数の装備で任務を果たそうと検討している。無人ISR機はその中で不可欠な役割を期待されており、ファミリーの中で一体となって機能するように検討し実現される必要がある。
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gatescutbudg2.jpg13日にオバマ大統領が打ち出した「今後12年間で、安全保障関連予算を35兆円削減」の方針で、無人機はどのような影響を受けるのでしょう。
ますます依存度が高まるとまんぐーすは考えます。
「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「米無人機の再勉強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-05
「無人機の未来を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25
「米空軍無人機のゆくえ・前編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27-1
「米空軍無人機のゆくえ・後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-28

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