続なぜF-22はリビアで飛ばない

F-22.jpg対リビア航空作戦になぜF-22が参戦しないのか?・・については、これまで米軍事サイトに出回る諸説をご紹介してきました。
一つはシュワルツ空軍参謀総長等がほのめかすように述べた「米本土の基地から距離がある」との説明、もう一つは軍事情報サイトが取り上げたデータリンクの問題説です。これらの説については、先日の記事でも取り上げました。
「新爆撃機、女性兵士、F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01
本日はこれに加えてもう一つ。より説得力がありそうです。
4日付「DODBuzz」記事が、前空軍ISR部長であるデプテューラ退役中将(David Deptula)から届いたメールの内容を紹介し、3つめの説を唱えています。
Deptula.jpgF-22がリビア戦に参戦しないのは、政治的理由からであろう。つまり、F-22は完全なステルス機であるから、リビアの防空網を破壊することなく所望の目標攻撃を行えるため、米単独で任務が遂行可能になってしまうことが問題なのである。
●今回米国は、米国単独でなく、多国籍軍で作戦を実施したいとの意向を持っている。従って、多数の国を参加させるため、脆弱なリビア防空網攻撃という「容易で」「誰でも参加可能な」初動作戦を選択した。
●リビアがF-22の母基地である米本土から遠いというのは、誰が考えても理解に苦しむ理由である。F-22は既に世界中に展開して訓練を実施した実績を持っている。
●データリンクの問題を取り上げたのも的外れである。F-22のデータリンクには何の問題もない。仮にF-22のリンクに問題があると評価するならば、多国籍軍の多くの航空機は対リビア作戦に参加できないはずである。
F-22-1.jpg●F-22は制空戦闘機であるから、空対地ミッションに関しては1000ポンドJDAMを2発しか搭載できず、F-15Eやハリアー等と比較して見劣りがするのは事実である。しかし、隠密に精密爆撃が行える利点は他を圧倒している。
●それでもF-22を使用しないのは先に述べた政治的理由と繊細な機体であるが故の展開コストが主要な理由になっているのではないか。
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Deptula2.jpg昨年10月に退役したばかりのデプテューラ氏は湾岸戦争で航空作戦コンセプト立案チームの中核として、また1998-1999年の北部イラク飛行禁止空域監視の司令官として活躍した、航空作戦計画のプロです。
退役直前は空軍参謀本部で情報アセット担当部長を務め、ゲーツ長官の命を受けて無人機導入やISRの改革に奮闘した経歴の持ち主でもあります。
「デプテューラ去る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24
軍事サイト「DODBuzz」は、距離と経費と政治の合わせ技で、F-22は派遣されないのだろうと結論付けています。それにしてもデプテュラ氏が元気そうで何よりです。有人航空戦力が最も輝いた時代を牽引した人物ですから。
今は昔になりにけり・・・ですが

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