発表:国家安全保障宇宙戦略(NSSS)

NSSSsummary.jpg4日、今後10年を念頭に置いた宇宙戦略「National Security Space Strategy」がゲーツ国防長官とクラッパー国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence:James R. Clapper)の連名で公表されました。
国防長官とDNIの両名が署名したのは今回が初めてで、「この事実が我々の進むべき方向性を示している」と国防担当高官が述べています。
昨年6月にオバマ大統領が発表した「National Space Policy」を受け作成された同戦略は原則非公開のようですが、サマリーが公開されています。(注:国家レベルの政策が発表後に作成する順序になったのも今回が初めてのようです。)
サマリーはご興味のある方にご自身で読んでいただくとして、本日は声明や発表会見を伝える国防省HP記事からその方向性を感じていただきましょう。
どの言葉も、最近頻繁にご紹介してきた以下の宇宙関連記事と相通じるところがあります。
国防省の特集ページ
「宇宙戦争の指揮は女性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-30
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
ゲーツ国防長官は声明を発表し
●「本戦略は過去の習慣からの重大な別離を表現している。」「本戦略は、直面する新たな挑戦に対応しつつ、宇宙から得られる我の優位性を維持する実戦的なアプローチを採用している」と述べています。
Schulte.jpg担当のシュルツ国防次官補(宇宙担当:Gregory L. Schulte 元国際原子力機関米大使)は
●宇宙(の状況)は根本的に変化しつつあり、我々に戦略の変化を迫っている。最も重要なメッセージは、宇宙での活動要領に異なる思考が必要、である。
第1に、他国にも責任を持って宇宙で行動するよう働きかけ、米がそれを主導する
第2に、如何に諸外国の商業ベースの宇宙能力を有効に活用するか
第3に、他国が我が宇宙アセットを攻撃するのを抑止するため、考え方を改める
●目的は、全ての国が平和的に宇宙を利用でき、その中に国防利用も含まれること
●宇宙の挑戦的な環境変化を憂慮している。デブリス(破片)の増加、宇宙アセット攻撃能力の発達等々から、本戦略は我の能力、産業基盤、宇宙ドメインそのものの保護の必要性を強調している。
米戦略コマンドはかつて核兵器の運搬を任務にしていたが、今では他国や民間企業と協力し、宇宙アセットの衝突警報を各国等に発している。
●陸海空のドメインと同様に、同盟国やパートナー国との協力が不可欠である。NATOはその協力相手の候補である。
カリフォルニアのVandenberg空軍基地にある統合宇宙作戦センター(Joint Space Operations Center)は、世界中の米宇宙戦力を一元的に運用する拠点だが、ここに同盟国等も呼んで共同作戦センターにしたいと考えている。
NSSSheader.jpg●この戦略を実行するには長期間を要する。初期の動きは2012年度や13年度予算に見られるだろうが、究極的には各軍種の計画、特に空軍の計画に長期に渡って影響を与えるだろう
また、(この戦略は)我々の訓練、将来計画、国務省と行う外交にも影響を与える物であろう。
豪とは宇宙情勢認識を共有する方向で努力しており、民間部門とは国防省の衛星に彼らの搭載物をのせる相談を進めている。厳しい財政状況下、新戦略を遂行するため多様な手段を模索している。
●ゲーツ国防長官とリン国防副長官は、ドンリー空軍長官に本戦略の推進を託した。国防宇宙委員会(Defense Space Council)は政策推進の議論の場となる。
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抽象的な内容で申し訳ないのですが、これらを体内に積み重ねておくことにより、細かな事象に接した時に繋がって整理できるのです・・・たぶん。

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