1/2対中国で北東から南東アジアへシフト

AFM1012.jpg1月号の「AirForce Magazine」が「Pacific Push(太平洋での攻勢)」と題した記事を掲載しています。
Richard HalloranというNY Times紙でアジア全体や軍事問題を扱っていた人物による記事で、対中国を巡る米国戦略で南シナ海が鍵となりつつあり、その対応のためにグアム諸島の強化や東南アジア諸国との連携強化が進んでいる様子を紹介しています。
JGSDF3.jpgまた同時に、対中国の前線として重視したい日本が「出遅れ」て「日本にとって日本自身が最悪の敵となっている」等の表現を用い、緊密に連携したいのに「頭越しせざるを得ない」状況にある困惑も描いています。
なおRichard Halloran氏は、以前ご紹介した「AirSea Battle」との記事(↓にアドレス)を同誌に上奏し、太平洋軍の同コンセプトへの取り組みをフォローしており、本記事でもAir-Sea Battleとの関係に触れつつ筆を進めています。
「太平洋軍のAir-Sea Battle検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05
本日と明日の2日に分けてご紹介します
「Pacific Push(太平洋での攻勢)」の前半の概要は・・・
北東アジアから南東アジアへの静かなシフト
gatesMarine.jpg●北朝鮮による挑発的な動きはあるが、本地域での本質的脅威は中国からのモノである。
●例えば、昨年6月のシャングリラ・ダイアログで、ゲーツ国防長官に対する挑発的な中国軍将軍の発言や個別の米国幹部への発言等から、中国軍が共産党や政府のコントロールとは別の戦術を執っているのでは、と見る専門家もいる。
「シャングリラ・ダイアログ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「(質疑)シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
●このような強い姿勢とは裏腹に、中国は国内消費の半分の石油を輸入に頼り、その輸入の8割は脆弱なマラッカ海峡経由の海上輸送によるモノである。同海峡から南シナ海を通過するルートが中国経済成長の命綱である。
仮に米が中国の海上輸送を妨害しようとすれば、例えばB-52爆撃機1機が搭載する巡航ミサイル、魚雷や機雷等だけでもかなりのことが可能である。
B-52.jpg●約100年前、英国の地政学者マッキンダーは「ハートランド」を制する者がユーラシア大陸を支配すると述べたが、今米国の戦略家は南シナ海を制する者が海空パワーを用いて中国を含む発展著しい東南及び東アジアを支配すると考え始めている。複数の論文がある。
●中国が米国をアジアと西太平洋から閉め出そうとするのを抑止するため、米太平洋軍は静かにその焦点を「北東アジア」から「南東アジア」にシフトし、特に南シナ海とその沿岸地域でその動きが顕著である。
グアムでの戦力増強は、このような中国に釘を刺す戦略の機軸となっている。(豪との米海軍部隊の訪問強化の協定もこの流れ)
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前半の本日はここまでとし、後半の明日は「グアムでの活動活発化と抗たん性強化」と「東南アジア諸国の巻き込みと日本の停滞」についてご紹介します。

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