英国有力紙TelegraphやFinancial Timesを引用する形で、18日付「DOD Buzz」は、強力な緊縮財政策を推し進める英政権が「冷戦後最大の劇的な軍再編」を計画していると報じています。
その方向は、いわゆる陸海空の通常戦力を大幅削減し、特殊作戦部隊を増強するというものです。また海外駐留部隊の見直しも含まれています。
記事「Scrap F-35Bs, Cut 16K Troops」が伝える概要は・・・
19日、キャメロン首相が「戦略防衛再評価」を発表し、今後4年間で国防費を8%削減する計画を明らかにしました。「軍事介入よりも、紛争防止優先に切り替える」とその方針を説明しました。英国防省の公式発表はこちら
また18日国家安全保障会議は、「テロやサイバー攻撃が、通常武力衝突を上回る脅威」と位置づけました。
これらを総合すると・・・・
陸軍は・・・
●兵力7000人減、100両以上の戦車と200両以上の走行車両を削減。1個装甲旅団が消滅
もっと影響外大きい海軍は・・・
●戦闘艦艇を現24隻から19隻に減らし、4000人の水兵を削減。
●ハリアー戦闘機は来年破棄
●バンガード原潜後継艦の建造を延期。
●現在運用中の空母2隻の内、1隻は即時廃艦とする。
●24年前から関わってきたハリアーの後継機F-35B(垂直離着陸型)の購入を中止し、7年間は空母をヘリ専用として運用。その後空母を改造し、カタパルト離陸のF-35C型を購入して搭載。
空軍は・・・
●2個空軍基地を閉鎖し、5000人を削減
特殊作戦軍とその他
●SASのような特殊作戦部隊の予算は大幅に増え、装備品も更新されるだろう。採用数も増加する。
●サイバー戦能力を強化する
●核弾頭数を、160から120へ削減する。
●65年の歴史を持つドイツ駐留部隊を撤収する。(以上が記事概要)
///////////////////////////////////////
14日、ゲーツ長官がブラッセルへ向かう機中で、「(NATO同盟国が軍事費削減の動きに出ている点に関し)それぞれの国の事情に基づいて決定されるべきものである。しかし私は、同盟国の国防費削減によって生じるギャップの穴埋めを米国に期待しているのでは、と懸念している」と同行記者団に語っていたところです。
「NATO改革推進へPush」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-14
英国紙記事の内容が、どれほどNATOや欧州の安全保障に直結するか、Holylandは十分な知識がありませんが、英国の海空軍は日本の自衛隊と似たような人員規模ですから、4千~5千名の削減は大軍縮ともいえましょう。
同じ島国ですから、赤い旗系統の皆さんには大いに引用されるかも知れません。
英国軍も大改革へ経費縮減策へ
「英軍に学ぶ経費縮減策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-26-1
「英国も国防省改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16-1
「英空軍も戦闘機削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03
コメント