7日付軍事サイト「DOD Buzz」の記事によれば、9月の最終週、米空軍とボーイング社は計約1兆円に上るB-52爆撃機の改良契約を結んだようです。
Holylandは米国の契約制度や用語に詳しくありませんが、「indefinite delivery/indefinite quantity (IDIQ) contract」つまり、契約の数量や納期等については開発の進捗を見つつ、ある程度の経費上限を設定し、能力向上に関する改修を行いつつも、経費の高騰を抑えるねらいを持った新たな契約の手法だそうです。
同記事は、軍事記者が議会関係者より早く空軍からの情報を入手したことや本契約方式に関する議会関係者の不満や懸念がかなり表現されていますが、私の興味は「今さらB-52に何をですか!?」にありますので、不十分ながらそのあたりをご紹介します。
契約やB-52の今後について・・・
●改修計画は今後8年間にわたるもので、1機あたりで総経費を割ると約100億円になる。同記事はB-52の導入当時1955年の価格が現貨幣価値に換算して約60億円強であったこと引き合いに出し、驚くに値する契約だと述べています。
●契約には最低調達オーダーの単位は5千万円以上でなければならないが記載されている。
●この改良は、B-52を2040年まで使用することを念頭に行われる。
具体的な改良・改修事項は・・・
●データリンク(Evolutionary Data Link (EDL) Phase III kits)
●通信関連(Combat Networks Communication Technology (CONECT))
●レーダー(Strategic Radar Replacement development and production)
●爆装格納庫(MIL-STD-1760 Internal Weapons Bay)
同記事執筆記者は、総経費の大きさからエンジンや機体構造の改修も含まれるのでは・・との疑問を持っており、その点を空軍関係者に投げかけたところ「仮に承認されれば、現契約で実施可能だ」との返答だったようです。
なんか本当に柔軟な契約ですね・・・
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B-52は今後どのような役割を担っていくのでしょうか・・・
現在はその長時間滞空性能を生かし、アフガン上空で哨戒を続け、地上部隊の緊急要請に基づき近接航空支援CASを行う役割でその存在感を発揮しています。
「B-52が長距離近接航空支援を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-26-1
ちなみに、B-1B爆撃機は滞空能力に加え、低空高速飛行能力を生かし、タリバンを音と偉容で恫喝する役割を果たしています。
米空軍の爆撃機の将来は、現在長距離攻撃システム(LRS:Long-Range Strike System 次期爆撃機とは呼ばない)との新たな位置づけで検討が始まっており、2012年度予算には具体的な開発費等を計上したい意向のようです。その方向性は・・・・
●開発リスクの低い、現状で証明済みの技術を用いた長距離ステルス型を念頭に
●有人タイプはオプションとし、他の兵器システムとの組み合わせで総合的に能力発揮
●B-2のように製造コストの高騰で十分な数を調達できなかった例を反面教師とし、十分な数量を確保できる単価で
・・・といった方向性があるようでが、B-52はどう言った役割なのでしょうか・・・。
(関連記事)
「もう爆撃機とは呼ばない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26
「空軍協会の航空宇宙会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-16-1
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「どんな兵器:Anti-Access対応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
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