サイバー戦略5本の柱

lynnNATO2.jpg15日、サイバー戦に関する協議のためブラッセルのNATO司令部を訪れていたリン国防副長官が有識者の団体の会合でスピーチし、米国防省サイバー戦略の「5本の柱(Five Pillars)」について語りました。(写真は全てNATOとの協議の模様)
米国がサイバー戦の戦略を固めながら、同盟国やパートナーとの協力関係を本格的に模索し始めた動きと見るべきでしょう。
リン副長官の示した「5本の柱」とはトランスクリプトはこちら
1 サイバーという新ドメインの認識確立
●陸海空や宇宙と並ぶ、新たな領域ドメインとして扱う。その特徴は、人工の空間からなっている点と民間部門のインフラが大部分であること
●新ドメインとして、教育訓練やドクトリンのように、他のドメインが備える全てを同様に兼ね備えなければならない。米ではサイバーコマンドがその役割を担う。
2 受け身を越えた防御体制確立
●要塞の中にいるような受け身の姿勢だけでは生き残れない。単なるファイアウォールやウイルス駆除だけでは7~8割の対応しかできない。
積極防衛が必要で、順次に侵入を探知しブロックできるセンサーを組み合わせ、一次防衛ラインを突破した相手を捕捉し攻撃しなくてはならない
3 インフラの安全確保
●幾らネットワークをソフト面で防御しても、例えば電源が落ちるようなことがあればお手上げである。
4 集団防衛体制の確立
冷戦時代の共同での早期警戒態勢やミサイル防衛分野における早期警戒と似ているが、攻撃の兆候を早期に発見できれば出来るほど、我々の防御は強固になる。
●各国との共同体制の確立が極めて重要な分野である。
5 技術的優位の確保
●我々はIT技術で優位を保っているが、これは安全保障上も経済面でも死活的に重要なことである。
教育訓練面での改良、人工知能の開発、更にはネット上での訓練手法開発が、我々の優位を維持するための投資先の一部である。
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lynnNATO.jpgサイバー戦については、法制面での根拠不足が指摘されていますが、恐らく「走りながら考える」しかないのでしょう。
これまでリン副長官やアレキサンダー司令官(Cyber Command)の様々な発言をご紹介してきました。秘密の部分が多い分野ですが、これまでの公的発言を整理すれば、かなり輪郭が見えてくるかもしれません。いつか出来るかな?
(関連記事)
「(2/2)米空軍サイバーに取り組む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-07-1
それにしても輪郭が見えないのが日本の対応です。Holylandが知らないだけかもしれませんが・・
追伸
各種の米軍事サイトが本件を20日付けのトップニュースで伝えています。
しかし・・各サイトの見方は悲観的で、例えばDefense Techは「サイバー戦における真珠湾攻撃が発生しない限り、人々は重い腰を持ち上げないであろう・・」と結んでいます。 なんとなく納得の表現でした。

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