読売新聞(2010年7月5日01時55分配信)で・・・
前回ドイツ大会で日本サッカー協会の分析リポートをまとめた小野剛・前技術委員長が、これまで終了したW杯60試合から見て取れたサッカー世界の潮流を語っています。
オシムさんは少し哲学的だし、セルジオは嫌いだし、犬飼会長や川淵さんは細かく言わないし、その他大勢の自称評論家は話にならないので、再び小野剛さんにご登場いただき頭の整理を致しましょう!!
選手への「要求」レベル高まる
●大陸間の実力差は縮まり、サッカー自体が進歩しているのは間違いない。まず、個々の選手が果たすべき「要求」のレベルがさらに高まっている。
●特に、相手の速攻を防ぐ前線からの守備は、かなり重要な要素だ。ドイツやオランダ、スペイン、ブラジルでもハードワークが前提で、そうしない選手は淘汰(とうた)された。そのうえで強烈な個の輝きを放つことができる選手だけが活躍できる場となった。
●ボールを奪われた時に1本の決定的な縦パスを入れさせない、せめぎ合いが高いレベルで行われている大会だ。前線からのハードワークができないチームは落ちていく。その意味では過渡期だと思う。それを打ち破るにはどうするかというサッカーが、これからの終盤戦で現れてくるだろう。
●逆に見れば、攻撃する側が前を向いて時間を与えられることはなくなっている。だから、比較的前を向ける最終ラインの選手がボールをつなげないチームは非常に厳しく、DFにもビルドアップの能力が要求されるのを強く感じる。
●精神面の強さも必要だ。ぎりぎりの戦いの中で自分自身をコントロールできないと生き延びていけない。退場になったブラジルMFフェリペメロが典型だし、ナイジェリアも自己抑制ができずに敗退した。強い闘争心と冷静さを同居させるタフさが高いレベルで要求されている。
高い「要求」はチームにも
●同時に、高い「要求」はチームにも課せられている。どんな強豪でも、しっかり準備しないと勝てないのが大きな傾向だ。準備には、〈1〉選手の休息〈2〉高地順化のハードトレーニング〈3〉親善試合での戦術面の仕上げ――と3段階が必要だったが、欧州勢できちんと手順を踏めたのは、早くリーグ戦を終えたオランダだけだった。
●8強に4か国が残った南米勢も、チームとして明らかに早く入念に準備をした。自国で育って欧州に渡り、大陸予選でも様々な環境下でのプレーを余儀なくされる選手の適応能力も、アフリカ開催の今回は勝敗のアヤとなったのかもしれない。
日本、まだ世界と差
●多くの人が、日本は大会中に飛躍したと思っているかもしれないが、そうではなく積み重ねの結果だ。世界を相手に、1対1でこれほど果敢に向かっていけたことはなかった。攻撃ではひるまずに仕掛けてファウルを多く取ったし、守備でも長友、駒野の両サイドバックや中盤の選手がチャレンジし、最終ラインの中沢、闘莉王が体を張った。腰が引けたところがなかったのが大きな成果と言える。
●チームとして、一つのシュートやゴールを何人もが絡んで生み出す連動性と、守備でも多くの選手が絡んで相手をきりきり舞いさせたところには「日本らしさ」も見せてくれた。アジアよりも数段高いレベルの中であれだけのことを発揮できた意義は大きい。
●確実に向上はあった。しかし、世界に追いついたという過信は禁物である。一つ一つの精度――奪ったボールを確実につなげたか、激しい競り合いの一瞬でしっかりコントロールしたパスを出せたかというと、まだまだ世界と差があることを認識しなくてはならない。
準備期間の短さについても、今回はぎりぎりの高地トレーニングが結果となったが、強化日程には警鐘を鳴らしておきたい。
●世界の進歩以上のスピードを絶えずキープするには、今回の選手たちがW杯で成し遂げたプレーを、その水準と集中力のままJリーグで続け、より高いレベルでの切磋琢磨(せっさたくま)の場にしていくことが重要だと思う。(以上、読売新聞より)
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小野さんも少しはほっとされたでしょうね・・・。今後もよろしくお願いします。
「だから日本代表を応援する」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-08-1
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