ゲーツ長官が、NATO国防相会議でアフガン軍教育への人材派遣とミサイル防衛強化を訴えている間に、マレン統合参謀本部議長はワシントンのアジア協会と国防大学(NDU)卒業式で種々語っています。
アジア協会では、ゲーツ長官の受け入れを拒否した中国への視線が「興味深く見つめるから、純粋な懸念に変化した」と明言し、NDUでは、真のエリートである大佐クラスの卒業生を前に「変化」を語っています。それぞれのスピーチから、部分的にご紹介します
●9日 アジア協会(Asia Society of Washington)で中国に関し・・・
北朝鮮による韓国海軍艦艇撃沈事件に関し、中国が事態の重大さと調査の必要性を公式に発表したことには励まされたが、国際協調姿勢への呼びかけに対する消極的な反応には落胆した。
中国は地域のリーダーである。我々はその力と潜在力を歓迎している。問題は、中国が米国と共に地域の安定のために歩みリードするつもりがあるのか?である。米国側はもちろんイエスである。中国の態度は、時にイエス、時にノーである。最近の軍事交流の拒否は、共に学び聞く機会を放棄する行為である。
また近年、彼らが自国防衛のためと主張する軍の海軍や空軍の近代化は、その範囲を越えているように見える。いずれの国も自国防衛の権利を有するが、その枠を越える能力と枠とのギャップは、私に好奇心以上のものを想起させる。正に、興味深く見つめるから、純粋な懸念に変化した(Indeed, I have moved from being curious to being genuinely concerned.)
オバマ大統領は、「米国は太平洋によってアジアと分断されているのではない。繋がっているのだ」と言っている。我々のリーダーが望んでいる。私は、中国との関係が再開されることを望んでいる。中国軍のリーダーが緊張を和らげ、信頼を増す事を望む我々に同調してくれることを望む。
●10日 NDU(National Defense University)卒業式で・・・
・卒業生600人の半分が他省庁や海外からの留学生である事を生かし、卒業後もその関係を維持するように努めよ。色々な考え方を吸収せよ。
・リンカーンは言った「静かな過去のドグマは、嵐の中の現代には全く不適切だ」
・通常戦と不正規戦を分けるラインを引く事は益々難しくなっている。将来の紛争は益々複雑さを増し、我々の対処法は変化し続ける。従って我々の投資は、最大限の柔軟性を保有できることに焦点を置くべきである。
・今日、力は精密に原則に基づく姿勢で用いなければならない。歴史的に見る軍事力の精密性とは同じではない。COIN(ゲリラ対処)の場合、精密さは兵器の精密さではなく、意図の精密さである。目的は敵の粉砕ではなく、人々を成功に導くことにある。
・この戦時において、国の子供達を正しく導くほど重要な任務はない。ここで習ったことを子供達にも伝えよ。そして子供達に質問させなさい。そして質問に良く耳を傾けなさい。あなた達の意見のように、彼らの意見も同様に聞くに値するし、国にとって重要である。
中国に関しては、軍事交流拒否のタイミングもありますが、Joint Air-Sea Battle Conceptの検討進展のタイミングとも偶然一致している点も頭に置いておきましょう。
NDUスピーチの結びが「子供達へ語ること、子供達から聞くこと」の重要性になっているところが染みました。私たちも子供に伝えなければならないことが有りますね。
訳に自信がないので、原文は→There’s no greater task, no more meaningful endeavor, than to lead your nations’ sons and daughters, especially in a time of war. I hope you share with them what you have learned and experienced here. Allow them to question you and to grow. And listen … truly listen. Because like you, their opinions matter.
They deserve – your nations deserve — nothing less than your very best. です。訳にご指摘が有れば歓迎いたします。
「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「(質疑応答)シャングリラ・ダイアログ演説」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
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