シンクタンクCSBAによる対中国軍事対処構想レポート「AirSea Battle: A Point of Departure Operational Concept」の、最後の第5章「Point of Departure Concept」を読んで、本当に最後にしたいと思います。
●筆頭執筆者(Jan Van Tol)最後の言葉
本レポートはJASBCの「出発点」や「たたき台」を提供した。著者は皆、大部分の内容に自信を持ち、最終的なJASBCに組み込まれると考えているが、幾つかは最終精査を受け修正もあるだろう。最終的な全てのJASBC要素は実世界での試験を経るべきである。
しかしながら、最も今求められているのは、西太平洋という国益のかかったエリアでの軍事的不均衡に対し、真剣に継続的な努力を開始すべきことである。この精神を持って、JASBCの初度コンセプトを提示し、この重要な課題に挑む空海軍諸君のために謹んで貢献できれば幸いである。
●JASBCの中核は何か
西太平洋地域での軍事バランスを回復して維持することに対する回答である。
JASBCは、中国の大規模な初度攻撃に耐え、その影響を和らげ、中国のA2ADシステムを盲目化することによりその効果を減殺し、戦略的・戦術的な主導性を取り戻すことにより、後に続く作戦への足場を築くことを論じたものである。
別の言葉で言えば、中国が短期に戦勝を納めることを妨げ、又は中国が米や同盟国にそれを信じ込ませることを防ぐことに焦点をあてている。
●重要な空海軍の相互協力
1 米空軍による、中国のISRや海面監視用宇宙アセット攻撃は、米海軍の艦艇や空母の行動の自由を拡大する。海軍も空軍の対宇宙作戦を支援する。
2 米海軍のイージス艦は、他のBMDアセットを補完し、空軍基地や日本の防衛にあたる。
3 米空軍の長距離突破攻撃作戦で、中国の長距離海面監視システムや弾道ミサイルを破壊し、米海軍の自由を拡大し、米や同盟国基地への攻撃を減らす。
4 米海軍空母航空戦力による段階的な巻き返しによる、中国の有人無人ISRや戦闘機の制圧は、米空軍空中給油機や他の支援機を助ける。
5 米空軍ステルス爆撃機による攻撃的機雷敷設や非ステルス機による敵艦艇攻撃は米海軍の通商阻止を助ける。
●何度も重複する表現や言い回しがありましたが、ゲーツ長官的には・・・・
中国の我々の機動を妨げ選択肢を狭める能力に懸念をもつ。サーバー、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの中国の投資は、米軍のプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に海外基地と空母機動部隊に対して。これらは足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、いかなる形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す。(以上 09年9月16日 ゲーツ国防長官 空軍協会大会にて)
また、5月3日、米海軍協会(Navy League)総会では・・・・
空母機動部隊が中心の60年以上使用されている海軍戦略に何ら変化が見られない。(中略)対艦兵器の脅威が増大する中で、海空軍がJoint Air-Sea Battle Conceptの策定に取り組んでいることに勇気付けられる。
●5月26日、米空軍士官学校卒業式でマレン統合参謀本部議長は・・・・・
明日27日、空軍参謀総長と海軍作戦部長が展開(Roll out:多分「国防省外へ」の意味?)を開始するJoint Air-Sea Battle Conceptは、新たな脅威や技術拡散に対応するための、軍種間・省庁間、更には国家間をまたぐ協力を必要とする、重要で主要な取り組みである。
「CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
(その2)から(その5)
↓
「(その6)CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
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