米軍サイバーコマンド道遠し

(10月1日サイバーコマンド正式運用記念の記事)
「サイバー司令官、国家への警鐘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
////////////////////////////////////////////
AlexanderCYBER.jpg15日、米軍サイバーコマンドの司令官候補者であるアレクサンダー陸軍中将(Army Lt. Gen. Keith B. Alexander:現NSA国家安全保障長官)が、上院軍事委員会で関係議員の質問に答え、候補者としての所見を述べました。同コマンドは昨年5月にゲーツ長官が設立し、米戦略軍の隷下に入っています。
設立から概ね1年、いまだ指揮官も決まらず、候補者の同中将発言には種々の不確定要素や課題がにじみ出ています。
アレクサンダー中将によると・・・
AlexanderK.jpg●同コマンドの運用については、未だ多くが未定である。
●昨年ゲーツ長官がコマンドを設立した際は、国防省コンピュータシステムへの増大する脅威、安全保障への脅威、指揮系統統一の必要性について了解があった(今は??)。脅威は今年に入って急増している。
●私の仕事の焦点は、ネットワーク保障能力構築と国民の業務への理解促進である。本コマンドは、サイバー世界を支配しようしているのではない。軍のアセットを防護しようとしているのである。国民には、法的枠組み内にある我々の活動ルールや活動を知ってもらわねばならない。
●プライバシーは重要なポイントである。同時に軍のアセット防護と個人のプライバシー保護のバランスを取ることが必要である。
外国で活動する必要が生じた場合には、大統領の承認を得て、地域の戦闘コマンドを通じて活動する必要がある。
更に関係機関や民間との協力の重要性について・・・
AlexanderK2.JPG民間企業や第3国との協力が重要。政府内では、国土安全保障省(Department of Homeland Security)、NSA、米戦略軍や米北部軍と緊密に連携して業務を進める。サイバー攻撃の実施者をどのように特定するかも重要な点である。国土安全保障省は「.gov」の世界を、国防省は「.mil」の世界を担当する。
サイバー攻撃が米国内PC経由や第3国経由の場合は対応が複雑になる。国内PC経由の場合は、国土安全保障省を通して、民間部門や同コマンドが協力することになる。
●今検討している課題の一つは、どのように民間部門と業務を進めていくかである。これは最も難しい課題である。民間分野は大部分のコンピュータを保有し活用している。彼らは最先端におり、偉大な能力と人材を保有している。政府はこれをテコとして生かしてゆきたい。
Cybercomand.jpg行間からは、4軍内の機能や人材を集約することの難しさ、一般社会の警戒心への対処、他省庁との縄張り争い等々の産みの苦しみが聞こえてくるようです。
ご参考に、サイバーコマンド(Cyber Command)の組織図は
 → https://publicintelligence.net/wp-content/uploads/2009/06/cyber.png
(関係過去記事)
「米軍サイバーコマンドが最終準備中」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17

コメント

タイトルとURLをコピーしました