14日、リン国防副長官がコロラドスプリングスで開催された米国宇宙シンポジウム(National Space Symposium)で講演し、検討中のSPR(Space Posture Review:宇宙態勢見直し)やその背景等について、国防省の立場から語りました。
宇宙利用は、軍のみならず一般通信産業関係者にとっても死活的な事項であり、SPRも最後のつめが揉めているようです。関心の高さを反映してか、米宇宙財団主催の本シンポジウムには延べ8千人が参加、副長官の講演は4千人が聴いたそうです。
ここでもやはり「予算的制約の中で活動する一方で、宇宙産業は運用上の課題を乗り越えて行かなくてはならない」、「より効率的に進めないと、諸計画を縮小し、能力を削ら無ければならない」・・と一層のコスト見直しを迫っています。
リン副長官は今日の宇宙環境について・・・
●混雑して来ている Congested
60ヶ国以上が計1100個以上の軌道上システムを運用している。2万個以上の追尾できている破片やゴミがあるほか、小さくて追尾できないものが多数地球を周回しており、我々のシステムを危険にさらしている。
●競争が増している Competitive
かつて無いほどに多くの国が宇宙で活動を行っている。際限なきフロンティアが、もはやそうではない状態に近づきつつある。我々は協力によって、宇宙での通信障害を恐れなくて良いように努力しなければならない。
●挑戦にサラされている Contested
宇宙へのアクセスが当然のことではなくなりつつある。自国民への情報を制限するため信号を妨害する国や低高度衛星を破壊する能力を持つ国、宇宙装備の無力化や永久に無効化する技術があらわれている。鍵となるセンサーや装備を駄目にして、我々の通常兵器能力を殺ぐ接近拒否戦術が成立しうる。今日ほど宇宙アセットが脆弱な時代はない。
今後は衛星に重複性を持たせ、また空地のアセットとも組み合わせて考えるべき。また交換が容易なモジュールから構成されたより小型の衛星が推奨される。
新たな(SPRが描く)戦略は・・・
●宇宙での行動規範の確立 Norms of behavior
国防省の職員は宇宙通信がクラッシュしないよう、また衛星の追跡と軌道追尾の協力体制構築に働いている。また宇宙アセットを相互依存的に利用し、宇宙攻撃を行う者が利益を得ないような規範を確立しなければならない。
●選択的な相互依存 Selective Interdependence
宇宙は競争の場である。監視や指揮統制のような分野では協力関係は僅かであろう。他の環境監視やミサイル警報などの分野では、共通の利害から協力のドアを開ける。
●具体的な新アセットとして・・・
種々の制約下ではあるが、来年は軍の宇宙活動にとって特筆すべき年となる。新しいシリーズのGPS衛星、第一号の防護衛星通信、第一号の宇宙配備の宇宙監視衛星SBSSが予定される。今年は第一号の小型衛星を打ち上げる。
講演会場の雰囲気はどうだったんでしょうか・・・米国防省HPの記事は、厳しい予算や脅威状況だが知恵を出して頑張ろうですが・・・。
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