本日もAIR FORCE Magazine12月号の米海軍航空戦力の将来(近未来)に関する記事「A Specter Haunts the Carrier」を紹介します。
昨日は脅威認識、航空戦力整備全般、ファイターギャップについて取り上げましたが、本日は後編として空母、艦載無人機の検討及び新早期警戒機E-2Dを取り上げます。
●空母は一時的に10隻態勢へ低下
~2007年8月 12隻態勢
2007年8月~2012年 11隻態勢(07年にJ.F.ケネディー引退)
2012年 ~2015年 10隻態勢(12年にエンタープライズ引退)
2015年 11隻態勢(15年に新型Jフォード就役)
上記のように一時的に10隻態勢になるのは、ゲーツ国防長官が空母の建造間隔を3年から5年に延長したからです。 新型空母Jフォード(CVN-78)は電磁カタパルトを採用し、艦橋位置も後方に移ったタイプで、省力化も目指しています。
●他国の空母調達
囲み記事として他国の空母調達計画を紹介し、各国の空母が「大型化に進んでいる」とまとめています。フランスのシャルルドゴールは以前より24%排水量が大きく、イタリアも2008年にそれまでの2倍の排水量である2.7万トンの空母を就航。英国も6.5万トンの空母クイーンエリザベス(写真)とプリンスオブウェールズ2隻を予定しています。インドや中国がロシアからソ連時代の艦隊の一部を購入したことも広く知られています。
●無人艦載機への取り組み
21世紀当初の将来ビジョンには、2015年就航の新型空母への無人機搭載が描かれていました。そしてノースロップ・グラマンに設計開発(N-UCAS計画)をさせています。空軍のB-2爆撃機のような形状で、F-18よりもやや大きい機体のものが2012年に実空母で離発着試験を行う模様です。
しかし海軍は予算的制約等を理由にN-UCASの実配備に消極的な模様です。今では2024年以降にのみ必要性が生じるホーネットの後継まで検討を先延ばしする動きもある様子で、無人機の可能性を高く評価するゲーツ長官以下国防省とは全くことなるスタンスです。
●新早期警戒機E-2D
2007年に初飛行を終え、2011年には初期運用態勢に入る見込みで、70機程度の調達が見込まれています。これまでより少し大きい機体にこれまで無かった空中給油機機能を備え、荒れた海面の電波反射の中でも小型の巡航ミサイルを探知できる能力を備える模様です。(以上雑誌記事より)
おごれる者も久しからず・・・。これだけ精密誘導兵器が発達してくると、いつまで空母と艦載機が海軍の主力であり続けるのか?、といった疑問もわいてきます。相手からしてみれば、持たざる者からしてみれば、空母に空母で対抗しようとは考えません。
「ライジングパワーやテロリスト等が学んだのは、米国に対称的な戦いを挑むのは得策ではない、との教訓である」(ゲーツ国防長官)
コメント