デプテゥーラ(David Deptula)米空軍ISR部長(中将:Deputy chief of staff for ISR)が、21世紀の米空軍が直面する脅威についてスピーチし、「過去18年間、米空軍は空対空や地対空の脅威のない環境を享受できたが、敵は我々から学び、我々を将来否定しようとしている」「あらゆる分野と段階で我々の自由を制限しようとする脅威が現れつつある」と語りました。再びAFA発行Air Force Magazine11月号の「The “Balanced” Air Force」等より
●敵の技術獲得手段は・・・
敵は「盗み、コピーし、学び、模倣品を作る」とし、具体的な例として、米コンピュータシステムに敵が「裏口」となる部品を組み込み、その裏口から情報を得ている、と語りました。また軍事技術が民生品分野でデュアルユースされていることが拡散を助けていると分析しています。
●敵の防御力湾岸戦争の航空作戦コンセプトを中心となって作り、EBO概念の提唱者であった同中将は「デジタル技術により敵は容易に防御網をネットワーク化でき、典型的な一つの防御ノード(拠点)を攻撃しても相手の防御能力を麻痺させることが困難になっている」語りました。また軍事技術の市場流出により、射程80マイルのSAMがまもなく出現するも述べています。
●敵の戦闘機
F-22に近いレベルの戦闘機がF-35レベルの数量で米空軍に対抗してくることにより、米空軍の優位が失われる。米空軍の「探知されず、目標にされない」との狙いが損なわれる。
●安価な戦闘機の市場への流入
更に中国やロシアが開発するこのような戦闘機は、米国が今後30年間輸出しようとするF-35より安価に輸出されるであろうとも見積もっているようです。同中将は、「今後我々は、質と量の面でかつて経験したことがない規模で戦闘機の脅威に直面するだろう」と述べ、「一つだけ確かなことは、我々は昔に戻れないことである。将来の脅威環境は、我々が過去に経験したものとは異なったものである。」と語っています。
同中将は湾岸戦争やイラク戦争緒戦の航空作戦計画を中心になって立案した人物です。従ってゲーツ長官との相性は基本的には悪いのですが、何とか適応しようと頑張っています。でも、7月に同中将自らが会見して発表した無人機の将来計画「Air Force Unmanned Aerial System Flight Plan 2009-2047」は受けが悪いようです。原因は、中身に現在の無人機の将来像はあるものの、現在の有人機と将来の無人機の関係を表現した部分が無いことのようです。
「米空軍、無人機の未来を語る」http://blog.so-net.ne.jp/holyland/2009-07-24/もご参考に
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