米国防省は感謝祭のお休みで休戦モード・・・オバマ大統領が12月1日に陸軍士官学校で行う「アフガン新戦略」発表スピーチまで静かでしょう。そこで本日は、外務省出身の俊英・茂田宏さんのブログから紹介します。
●経緯概要
日本政府は24日の閣議で、鈴木宗男衆院外務委員長(新党大地代表)の質問主意書に対する政府答弁書を決定し、この中で北方四島に関して「ロシアにより不法に占領された領土」としました。
(久しぶりにまともな現政権の対応ですね)
これに対し25日ロシア外務省は・・・
我々は、南クリル諸島は東京にとり法的に拘束力のある連合国間の合意や取り決めおよび日本が批准した国連憲章に従い、第2次大戦の結果として法的な基盤に基づきロシア連邦の不可分の領土の一部であることを強調することを必要と考える。
上記の決まり文句を再生産している文書の日本政府による承認は受け入れられないとしか見なされない。ロシア側は・・・2国間対話にとりこのような行動は非生産的であることを繰り返し警告してきた。・・・と反論
●元外務省ロシア課長+国際情報局長+イスラエル大使の茂田宏さんは・・・
このロシア外務省の声明は根拠のないものである。
東京にとり法的拘束力のある連合国の合意(agreementsと複数になっている)とは何を指しているのか。日本はヤルタ協定の当事国ではないし、サンフランシスコ条約はソ連の千島への主権を認めず、それも一つの理由にグロムイコは署名をせずに帰国した。ポツダム宣言は日本も受け入れたので、日本を拘束するが、そこには千島をソ連に移す条項などない。
この合意のほかに、取り決め(arrangementsとこちらも複数になっている)が言及されているが、これも何を指しているのか。そんなものは私の知る限りない。
国連憲章への言及は旧敵国条項を念頭においたものと考えられるが、憲章107条は国連憲章の諸規定が戦争に関連して敵国に対しとられた措置を無効化、排除するものではないというだけであって、それ以上の意味、ましてや千島の領有権のソ連への移転などの効果を持つものではない。
ソ連は国内法上、1946年2月2日に最高会議幹部会令により対日平和条約の締結前に北方領土を併合した。ソ連の領有権主張の法的根拠はこの国内法しか無く、こんなもので国際的に領有権主張などできない。そのうえ、平和条約を待たずに併合するのは国際法違反である。
日本側としては、口上書に反論する口上書を送り、反論すべきである。面倒であるとか、その他の理由で、こういうことをしない嫌いが最近あるが、こういう盗人猛々しい姿勢には、反論をしておく必要がある。
ロシアとの関係改善はしばらく見込みがない、話にならない、という印象である。
ロシアもどうしようもないですね・・・ところで、茂田宏さんのブログ「国際情報センター」は良質で本格的な情勢分析を行う「本物」です。是非一度ご覧下さい。http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/MYBLOG/yblog.html
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