19日、ゲーツ長官が州兵リーダー会議(National Guard Bureau Senior Leadership Conference)でスピーチし、州兵の活躍を讃えるとともに、負担軽減や精神面でのケア施策を推進することやより最新の装備を支給する予算措置などについて説明しました。そして、通常の招集期間の直前に集合訓練招集を行う決断への理解を誠実に誠実に求めました。
州兵の任務は、米国内における災害救援、暴動鎮圧などの治安維持のほか、米軍の予備部隊としての役割も持っています。州兵は、大統領の命令により、連邦軍に編入され、連邦軍とともに戦闘任務を含む各種任務を担当します。911事案以降現在の州兵は、連邦軍の予備兵力としての意義が大きくなっています。
州兵は、陸軍州兵(Army National Guard)と空軍州兵(Air National Guard)で構成されています。(海軍、海兵隊部隊は存在しない)。どちらとも行政組織上はアメリカ国防省州兵総局(2008年から大将指揮)の管轄下にあります。
ただし通常は、連邦軍は州兵の指揮権を持たず、各州知事が指揮権を持っています。連邦軍が指揮権を発動するのは、大統領の命令により、州兵が連邦軍に編入された場合です。過去州兵が連邦軍に編入されたのは、朝鮮戦争、湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタン侵攻、イラク戦争の際です。(ベトナム戦争には不参加)。
ゲーツ長官はスピーチで・・・
●正規兵増による州兵へのしわ寄せ防止
現役兵のローテーションを2年本国・1年派遣に戻し、現役陸軍を一時的に2.2万人増員して州兵へのしわ寄せを抑える努力を行っている。
●州兵と家族への支援
現役兵と異なり州兵は広く分散していることから、兵士本人や家族向けのケアやサービスに関する情報や提供が行き届いていない。この問題を克服するため、黄色いリボン統合計画(Yellow Ribbon Reintegration Program)を推進し、情報やサービスが皆に行き渡るよう努力している。
●最適装備品の提供
以前のような「連邦軍のお下がり」で活動させることは改める。07年から13年にかけて約4兆円を投入し、特に海外へ展開する際の州兵の装備を最適なものにする。最適な装備率を、06年に4割であったものを09年度末には8割に引き上げ、15年には9割にする。
●派遣前訓練期間の追加
私がもっとも悩んだのが、この訓練期間の追加に関してである。皆さんは私が07年の約束を破ったように思うかもしれない。しかし私は、派遣される皆さんや家族・雇用主も含めた総合的な準備のため、部下の提案を受け入れた。ただしこの訓練追加期間は1年間をリミットとし、統計を取って有効性を確認する。07年の「12ヶ月招集ルール」は決して忘れはしない。
訓練期間の追加に関し、スピーチ原稿ではまさに、「言葉を尽くして誠実に」説明しています。その姿勢が伝わったのか、会場からは大きな拍手でしばらく演説が中断しています。
スピーチの冒頭では、ワシントンの政治家は動物園の動物のようで観察するとおもしろい、との強烈な皮肉ジョークを飛ばしていますが、現場への視線は「誠実一路」です。
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