16日、都内某所でイスラエルの高級英字新聞ハアレツ紙の軍事担当イサハロフ記者による講演会見がありました。イサハロフ記者は日本外務省が主催する「21世紀のリーダープロジェクト」に招待されての来日で、公式スケジュールの合間を縫っての90分間でした。
イサハロフ記者曰く・・・
●西岸地区の状況
西岸地区の治安は驚くほど回復し、経済的にも活況を取り戻している。2002~3年頃の状況を知るものに取っては大きな驚きであろう。02年に町の中心が破壊されたジェニンでも最近映画館がオープンし、町のレストランは人が溢れている。他の町でもイスラエル軍の検問所が無くなり、イスラエル領内のパレスチナ人との交流が活発化し、町は活況を呈している。ファタハの治安能力が低いため、依然治安に関してはイスラエル側が目立たないように目を光らせている。しかし、アラファトがいた当時のような汚職が減り、援助や通常の活動が安定的に行えるようになったことが大きな要因だと考える。
●ガザ地区
西岸とは対称的に、状況は悪化の一途である。ガザの経済は、国際援助団体の援助とエジプト国境の密輸トンネルだけで支えられており、明るい材料は何もない。ハマスの今の状態ではイスラエル側としてもアプローチのしようがなく、エジプト等周辺国、もどうしようもない。
●イラン対応
軍事的・技術的に、イスラエルは米国の許可・支援がないと単独でイランを攻撃することは出来ない。往復飛行ルートの安全確保等々・・・イスラエル一国では乗り越えられない壁がある。一方米国はイスラエルに軍事行動を望んでいない。段階を踏んで、経済制裁、その強化、並行しての外交交渉・・といった段階にある。報道されているとおり、イスラエル政府はあと2~3年でイランが核兵器を保有すると考えている。
●イスラエルと米国関係
オバマ大統領の首席補佐官であるエマニュエル氏はユダヤ人であるが、ネタニアフ政権に嫌悪感を持っていることは公然の事実となっている。もっともイスラエル人もネタニアフ政権が嫌いだからしょうがない(笑)。超右派政権だから米側としても手だてがないのではないか・・・。
●バラク国防相の訪米
11月上旬に訪米したバラク国防相のアジェンダは、イラン、F-35、軍事支援の継続以来等々ではなかったか。イランについては言うまでもないが、F-35はイスラエルにとって巨大なプロジェクトであり、各種試験の進展やトラブルの確認のほか、価格や情報開示についても話し合われたのではないか。
●イスラエルと中国の武器取引について
ファルコンAWACS事案以後、下火になっているのでは・・・よく知らない。
西岸地区の回復には驚きました・・でも素晴らしいことです。勇気付けられます。パレスチナの人たちは教育熱心で勤勉で、中東地域のあらゆる場所で医師、弁護士、技術者等々で活躍してますから。
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