米国防省HPの13日付記事は、米空軍初の無人機航空団(432航空団)が無人偵察機と無人攻撃機を使って活躍する様子を伝えていますが、司令官にもスポットが当たる構成になっています。
なぜか?・・それはこの司令官人事が、米国防省及び米空軍にとって極めてシンボリックだからです。
ガーステン大佐(Col. Peter E. Gersten)は、米空軍士官学校を卒業後F-16のパイロットとして第一線を歩き複数の実戦も経験、ファイターウェポンスクールで優秀賞を獲得、空軍参謀本部や統合参謀本部も経験、米国防大学も卒業、41歳で同期トップグループで大佐に昇任、そして本年6月までは緊迫の朝鮮半島でF-16を率いる第8航空団司令官だったピチピチの戦闘機パイロットです。
従来の空軍の「王道出世街道」を行く43歳の人材が、無人機部隊の指揮官として2千人余りの部下を率いている様は、まさに時代の変化を感じさせます。決して同大佐が「へま」をやって左遷されたわけではありません。米空軍は、無人機に有人機より多くの予算をつけ、操縦者の本年育成数でも戦闘機と爆撃機をあわせた数を上回っています。そうです・・時代の変化を宣言する記事でもあるとHolylandは考えます。
無人機の運用に関しても具体的な記述があり興味深いです。・・・
●「輸送任務や偵察任務で前方拠点から兵士が出る際は、我々は彼らの出発から任務終了までの間、上空から監視し続ける」
●6月に着任以来、「我々の無人機からの情報で、輸送車両が路肩爆弾を避けたとか、行動中の兵士が相手の急襲を避けたとか、負傷した兵士に安全な避難ルートを指示して脱出させたとか等々の話が日常の出来事のようにある」(写真はMQ-9 Reaperがミサイルを発射)
●6月に着任して部下の能力の高さに驚嘆した。私が何か具体的に指示しなくても「隊員はアイディアや改善案を持って毎日の任務に取り組んでおり、日々向上している」。「膨大なデータを、意志決定に資する情報に加工する能力がすばらしい部隊である。以前はデータにおぼれ必要な知識が得られなかった。しかし5年前はまあまあになり、2年前はよかった、今はすごい、明日は想像を超えるほどになると思う」
●「無人機システム」との呼称は好まない。なぜなら、操縦、センサー操作、通信、地上施設、情報加工処理に多くの人間が関わっているからである。遠隔操作航空機が適当では。
更に泣かせるのが、将来を不安視する有人機パイロットへの配慮ある言葉です。「無人機と有人機は、それぞれ特徴を生かして相互補完してシナジー効果を発揮、一方が一方に取って代わることはない、ともに進むのだ。2者択一の話ではない。どのように国益に貢献するかが唯一の問いである」 でもそれだけ米空軍内のパイロットに不安が広がっていると言うことでしょう。写真は無人機の操縦室(左が操縦、右がセンサー操作)
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