シンクタンクCSBAによる対中国軍事対処構想「AirSea Battle: A Point of Departure Operational Concept」をいくつかの問いを頭に浮かべながら読んでみました。
隅から隅まで読んでませんが、全体の雰囲気を感じていただければ幸いです。
Q1 どのような中国軍の攻撃を予想・想定しているのか
A1 中国内の軍事論文を参考にして想定した。大規模な日本と米軍基地への先制攻撃で当地域で米国が作戦する能力を殺ぎ、同時に指揮統制や補給をも困難にする。後は戦略的防御体制を取り、米軍のアクセスをあきらめさせる。つまり1941-42年の日本軍の戦略である。
A2 具体的な攻撃手順は・・・
1 開戦直後に低高度のISR、通信、赤外線衛星を無効化する。エネルギー兵器、対衛星兵器、妨害電波、サイバー攻撃等を併用して行う。
2 弾道ミサイルの連続同時発射を地上発射巡航ミサイルで補完し、航空機攻撃も使用し、米の有効な航空運用能力を粉砕する。対象はアンダーセン、嘉手納、三沢、補給・燃料拠点(グアム等)
3 対艦弾道ミサイルと対艦地上発射巡航ミサイルで、大陸から1500nm以内の米と同盟国艦艇を攻撃し、同距離内を「排除エリア Keep-out zone」として敵に耐えられない損害を与える。
4 米と同盟国の補給ラインを阻止する。ハワイやディエゴガルシア周辺にまで配備した潜水艦で補給手段を攻撃する。
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Q2 中国の先制攻撃が予想され、嘉手納等の部隊に甚大な被害が予想される状況で米軍部隊はどうするのか?
A1 情勢緊迫時、同盟国は米軍の増強を期待するだろう。この状況で脆弱な嘉手納のような米軍前方基地から撤退させることは、米軍の政治的弱さとして同盟国に見られる。しかしそのような脆弱な場所に配備することにより、より大きな被害を被ることになる。
そこで基地の抗たん性強化、警報発令システムの強化、緊急航空アセット避難分散訓練、BMD等積極受動防空の強化で被害の局限を図る。これにより数量の限られた中国軍の中距離以上の弾道ミサイルに更なる負荷を課す。
A2 主に日本に所在する海軍アセットの行動。
イージス艦は24-48時間で事前指定のBMD配備に就き、空母は中国のA2AD脅威レンジ以遠に移動する。潜水艦は先進配備し、同盟国潜水艦とASWを第1列島線内で実施。巡航ミサイル潜水艦や攻撃潜水艦、同盟国潜水艦は大陸沿岸エリアでISRや攻撃(SEAD)任務に備える。
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Q3 嘉手納、グアム、マリアナ諸島の基地に被害(一時的被害も含む)が出た場合はどうする
A1 東日本の基地へ米空軍とミサイル防衛部隊の増強を送り込み、東シナ海や日本海経由の中国軍攻撃への対処を支援する。これにより日本内の目標防護と日本の防衛意志を強固にする。
A2 補給物資輸送には海上輸送が中心なり数週間要する。空輸は迅速だが、飛行場の被害の影響を受ける。
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つじつまが合っていないような部分もありますが、一部分を紹介しているのでご勘弁下さい。
「CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「米の対中国新作戦はJoint Air-Sea Battle」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
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