(その3)シャングリラ・ダイアログ演説

↓↓↓ 2011年のシャングリラ・ダイアログ関連記事は ↓↓↓
「米国の姿勢:シャングリラ2011」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
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gatesSHANG2.jpg5日午前、ゲーツ国防長官がシャングリラ・ダイアログの第一セッションで演説しました。IISSのサイトに掲載された事前準備原稿から概要を紹介します。従って、冒頭のジョークと質疑応答の部分はまだ公開されていません。そこは後ほど・・・
Holylandの主観的な印象ですが、以下の2点が特徴的でした。
●★中国による、米国の台湾への武器輸出を理由とした米中軍事の対話中断を外交的な表現で厳しく非難したこと。南シナ海の問題も含め、中国が東南アジア諸国にも大きな懸念材料となっていること。IISSのwebサイトに公表された原稿で中国非難が22行(見方によっては34行)。北朝鮮への言及11行に比べても、他の話題に比べても突出した扱いでした。
●★米軍のアジアでのプレゼンスの変化について、これも慎重な言い回しながら明確に「従来のような軍基地の存在だけを尺度にすべきではない」と従来型兵力の実質削減に言及しました。まさにCSBAの対中国構想やAir-Sea Battle Conceptの背景思考そのものです。
Shangri-laBN.jpg演説をHolyland関心事項を中心にご紹介します・・・・
●地域の平和・発展・安定のための共通事項4項目
1 自由でオープンな商取引、
2 法の遵守
及び国家の権利と義務を重んずる国際秩序、
3 国際公共財である海空とサイバー空間への自由なアクセス
4 力に訴えることのない紛争解決
(Holylandコメント:特異な中国の態勢とその姿勢を非難しているように見えます。他にも該当国はありますが・・・)
●QDRやNPR等々を策定し、アジアでの抑止を強化(?)
gates3NT.jpg1にBMDの強化(写真は日米韓3国定期協議) 
2に核廃絶・削減への動きとそれに至る過程での保証
3に軍のプレゼンス。60年間米軍のプレゼンスが米の関与のサインであったが、世界的な米軍再編の結果、一つの方向性が明らかになる。アジアでの米軍の配置は、より地理的に分散し、作戦面で弾力性抗たん性を持ち、政治的に持続可能なものになる。グアムの基地の増強はこの流れの一つで、日本との基地に関する合意とともに。米日安保50周年とタイミングのあった、どんな政治家にも引き継がれる合意とともに。
●米軍プレゼンスの変化
重要なことは、米軍のプレゼンスとその影響は、従来のように軍事基地の存在だけで計れるモノでは無い点である。我々はプレゼンスをより広範な概念で、連携の存在や達成された結果で捕らえなければならない。医療支援、施設支援、多様な安保上の挑戦への対処などがそれに該当する。
Holylandコメント:管総理には日米合意の履行を迫っています。米軍基地の分散(戦力シャドー化の加速)、抗たん性強化などは、CSBAレポートの中国対処構想そのものの発想で、Air-Sea Battle Conceptの具現化の方向です。本当に抑止力強化か?? 無い袖は振れない・・との印象です。)
●中国の姿勢への批判
中国は、米の台湾への武器輸出を理由として、米との軍事対話を中断した。しかしこれは理由にならない。なぜなら・・・
gatesSHANG.jpg1に武器売却は何十年も継続していることで、新しい事ではない
2に米国は長年台湾の独立を支持していない。この点も何の変化もない
3に中国の軍事力増強は台湾を焦点に当てたものが多いが、米国の武器輸出は海峡を挟んだ平和と安定を保つ重要な施策の一つである。
米中の軍事対話だけが人質に取られている状態である。皆さんに明らかにして置きたい。中国との対話の中断によって、我々の台湾への政策を変えることはない。
米国防省は、オバマ大統領と中国国家主席が望んだ「継続的で信頼に足る、全てのレベルにおける軍事交流により誤解、誤判断、意志疎通のミスを減らす」事を希望する。これは地域の安全保障にとって必要不可欠である。
●南シナ海の航行の自由(中国への牽制も含む)
(中国との対話中断不足に関し)南シナ海は懸念が拡大する地域である。我々の政策は明確である。安定、航行の自由、自由で妨害無き経済発展が維持されることが不可欠だ、との立場である。
我々は航行の自由を妨害する武力の使用に反対する。我々は、合法的な経済活動に従事する国々や米国の支援を脅かすいかなる試みにも反対する。
Holylandコメント:これだけ中国関連での言及があるとは思いませんでした・・。それと普天間問題なんかアジアレベルでも微細な課題なんですね・・・南シナ海が大変なようです。)
gatesKOREA2.jpg
●北朝鮮(中国を意識したようにも・・・)
地域の全ての国々は、北朝鮮の危険な挑発に立ち向かう責務を共有している。
(参考記事)
「(その2)シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03
「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
        (その2)から(その5) 
 「(その6)CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
        (しつこく最後)、(番外編)も
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

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