同性愛問題を全軍に語る

gatesDADT.JPG5月28日、米軍内の同性愛者に関する「尋ねない、語らない(Don’t ask Don’t tell)」の基本方針を変更する議論が議会で開始されたことを受け、ゲーツ国防長官が全軍に向けメッセージを発しました。正式に変更になるまでは何も変わらない。どのように新たな方針へ移行することが適当か意見を聞かせて欲しい。とのお願いです。
4つのポイントとお願い部分の概要は・・・
第1に議会での議論は複雑で長く続く。議会は最終的に現方針を変更するように見えるが、数ヶ月で大統領に提示されるわけではないし、年末まででもないだろう。
第2に、法律は尊重されねばならない。しかしそれは、大統領や統合参謀本部議長や私が、軍の一体感や態勢、効率性や募集等への影響が問題ないと判断して準備が出来た後のことである。繰り返すが、これら検討が終わってからの話である。
gatesdontask.jpg第3に、種々の方針変更プロセスが明らかになってくるとは思うが、その過程では、現行の方針や習慣に何の変更もない。我々は、変更がない限り現行法に従わなければならない。
第4に、本年当初に私が開始した本件に関する調査が益々重要になる。方針変更に伴う影響調査と現任務への影響を最小にしつつ方針を変更する方策についての調査である。
政治レベルの議論に惑わされることなく、何が重要なのかを考え、皆さんとご家族の意見を本調査の過程で聞かせて欲しい。我々の重要な任務が国を守ることであり、皆さんが来ている制服が体現する価値を掲げる義務が重要であることを考えながら。
ゲーツ長官が士官候補生に語るときは、文民と軍人の関係について必ず触れ、法律に定められた上位の文民が決定したことに、軍人は従わなくてはならないことを必ず説いています。
gatesANP.jpg例としていつも語るのが、ナチスドイツから英国防衛をする「バトルオブブリテン」勃発直前、米軍の増強を優先するよう主張したマーシャル米陸軍参謀長の意見は入れられず、英国支援を優先した施策を大統領が決定したが、マーシャルは決して議員やマスコミやロビイストを巻き込んだ反対運動などしなかった、黙って敬礼し、任務に邁進した、との話です。
gatesHsch2.jpg核廃絶の方向性を含んだNPRや同性愛者問題は、ボスに命じられたら、その職にある以上全力でその実行に当たるべき。必ずしもそれが自分の意見と異なっても・・・の典型的な例でしょうね。辛きことは宮仕えかな・・・
でも同時に、高校や大学の卒業式では、必ず「公務」や「公のための奉仕」の重要性を熱く語るゲーツ長官です。
(士官候補生への講演の概要:なかなか良いお話です)
「海軍士官候補生には少しソフトに」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09
「士官候補生に語るシリーズ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「空軍士官候補生に厳しく語る」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06

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