文藝春秋8月号が「的中した予言50」とのタイトルの特集を組んでおり、50人の著名人が50人の「言葉」や「予言」を紹介しています。
必ずしも、「将来はこのようになる」とか「私はこうなる」といった明確な意味での「予言」ばかりではありませんが、歴史上の人物や現在も活躍中の方まで、様々な分野の人物が描かれてなかなか興味深いです。
本日はHolylandの独断と偏見で「3名」を選ばせていただき、触りの部分を紹介いたします。
●西郷隆盛(推薦者:山内昌之東大教授)
「正道を踏み、国を以てたおるるの精神無くば、外国交際はまった可るべからず」
解釈(正道を歩み、正義のためならと国家と共に倒れる精神が無ければ、外国と満足できる交際は期待できない。)
この言葉には続きがあり、「(現代訳)その強大を恐れ、和平を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただちに外国の侮蔑を招く。その結果、友好的な関係は終わりを告げ、最後には外国に使えることになる。」と結んでいます。
推薦者の山内教授は、これを題材に約20名の中学生と議論したが、予想以上に自然な形で中学生がその意味するところを感じ取ってくれたことに「心強さ」を感じたと述べています。
一方で・・・まぁ・・・やめておきましょう・・・。
●高峰秀子(推薦者:斉藤明美・作家)
「自分の好むと好まざるとにかかわらず、人に名前や顔を知られるようになった人間には、社会に対しての責任があります。」
高峰秀子さんは現在86才で、20年来の付き合いがある推薦者によれば、規則正しいきちんとした暮らしをされているとのこと。そして謙遜しながらも、その言葉は一言で核心をつくそうです。
高峰さんは5才で子役にさせられ、卓越した演技で大女優になった人です。華やかなように見えても職業選択の自由はなく、教育についても「大人の都合」で「学歴」は小学校2ヶ月と文化学院に1ヶ月のみ、なのだそうです。
推薦者は、1200人以上の著名人にインタビューした経験者だそうですが、「社会に対する責任」を口にした人はいなかったとのこと・・・。
サッカー本田圭佑選手の大叔父・大三郎氏(75才:東京五輪カヌー選手)が「圭佑は好むと好まざるとにかかわらず、このW杯で世間の注目を集める立場になった。サッカーをやめても、努力を怠ることのできない運命を背負った」と喝破されていたのを思い出しました。
●クリント・イーストウッド(推薦者:芝山幹郎・映画評論家)
「私はペシミズムを信じない。思うようにならない時は、鍛え直して前に進め。降ると思えば、本当に雨は降るものだ。」
イーストウッドは、端役で下積みの頃にテレビの時代を迎え、土壇場でCBSの「ローハイド」に拾われた俳優です。その後僅か15000ドルのギャラでマカロニ・ウエスタンに挑み、セルジオ・レオーネ監督に見出されて「荒野の用心棒」で注目を浴び、「ダーティーハリー」で俳優としての地位を確立しました。
しかし、40才で監督に進出した後は、20年以上を経て「許されざる者」でアカデミー監督賞を取るまで、評論家から「マッチョなスターに映画なんて・・」と散々批判を浴びたようです。
推薦者は「くじけず、腐らず、自身に焼きを入れつつ悠然と前に進む彼の姿勢は、しばしば私に勇気を与えてくれる」と締めくくっています。
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