19日ゲーツ国防長官が初の「米韓2+2」(21日開催)のため韓国に到着し、21-25日の間は米空母ジョージワシントンがプサンに寄港するなど、北朝鮮への「強い姿勢」を示す米韓の動向が今週の大きな関心事項です。そして、本件を更に複雑にしているのが、黄海での米空母の活動に強い不快感を示している中国の動きです。
そんな中、先週人民解放軍の軍事科学院(PLA Academy of Military Sciences)の副院長?(deputy secretary general)である少将(Maj. Gen. Luo Yuan)が人民日報のネット討論会に姿を見せ、「なぜ中国が米韓共同演習、特に米空母の黄海への訪問に反対するか」に関する「5つの理由」を説明しました。
中国人の、しかも一軍人の発言を一々取り上げるのも「いかがなものか?」とは思いますが、参考までご紹介します。(「Defense Tech」の19日付記事より)
「5つの理由」の概要は・・・
●1つ目 毛主席はかつて言った「他人が自分の寝床の脇で、いびきをかくことを決して許さない」 仮に米国が中国の立場だったら、米西海岸や東海岸沿岸での中国軍の軍事演習を許すか? 米国は他人からされたいように、自らも振る舞うべき。
●2つ目 、国家安全保障に関して、中国は常に最悪を考えて準備する。
●3つ目 米韓合同演習のエリアは首都北京から僅か500kmあまりであり、米艦載機(F-18と想定)は1000kmの戦闘行動半径を以て、北京と周辺経済中心地域を行動域に納めている。
●4つ目 国連の安全保障理事会は「天安号沈没」に関し、関係各国等に慎重で冷静な対応を求めている。黄海での米韓合同演習は朝鮮半島に新たな緊張を生み出し、危機を生み出すモノである。
●5つ目 米空母の黄海派遣は、米による台湾への武器売却に加えて、健全な中米軍事関係への発展に新たな障害を作り出す。
同少将はネット討論の最後の部分で、本当の理由らしきものを示唆している。
米国艦艇の強力なソナーやセンサーにより、「水中の音響地形がモニターされ地図化されることで、中国潜水艦が外洋へ進出するルート」が明らかにされることを望まない、といった主旨のことをほのめかしている。(以上「Defense Tech」の記事)
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ソウルに到着したゲーツ国防長官は20日、演習には米10隻と韓8隻の計18隻、更に多数の航空機が参加すると米韓の兵士を前に述べ、「北への抑止のシグナルだ」と強調しました。
このように「米韓2+2」や演習に関し、米国防省HPや報道官発言は「北朝鮮への明確なメッセージ」とのキャンペーンを張っていますが、巷の報道や論説は「中国の反応」に関心が集まっています。
それにしても中国の「天動説」的、又は「唯我独尊」的な言説には困ったモノです。
(参考記事)
「中国は先制攻撃する?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-2
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