W杯を振り返る、元チェアマン川淵三郎氏の分析が初めて本格的に出ました。
以下の記事掲載は、14日付ニッカンスポーツ電子版の川淵三郎キャプテントーク。記事のタイトルは「自覚と反発心が16強呼んだ」です。裏話も入って、さすがに読ませます。
記事の中身は・・・
●日本代表の活躍は、素晴らしかった。代表というのは、1試合勝っただけで国全体で喜びを分かち合えるもの。それが2回もあった。
●オシムの後を岡田監督に託した身としては、本当にうれしい。直前の4連敗でどん底まで落ちたチームが、これだけ短期間で立ち直った。世界的にも希少な例だ。
●ターニングポイントは、コートジボワール戦にあった。手も足も出なかったことで、選手も疑心暗鬼に陥った。「守備をやる以外にない」と選手たちが自覚したのが、気持ちの切り替えにつながった。「前でボールを奪うのはできるわけがない。前からプレスに行くのはやめよう」と、選手と監督の気持ちが1つになったのが大きかった。
●その後は右肩上がり。本田は献身的な守備をしたし、長谷部、そして阿部のアンカー役も効いていた。センターバックのコンビも良かった。選手たちは「守備を頑張れば、ある程度やれる」という自信を手にしたようだ。
●しかし、ベスト16という結果は奇跡に近い。帰国後の岡田監督と話をしたが、本人も「運が良かった」と言っていた。初戦のカメルーンに勝ったことがすべてと言えるし、その後の対戦順にも恵まれた。すべてがラッキーだった。1戦1戦が綱渡り的な感じだった。
●選手たちのミーティングでチームが1つになったと言われているが、ちょっとニュアンスが違う。ただ、自分をさらけ出すとともに相手の考えが分かったのは大きい。バラバラだということを自覚できたのがよかった。
●そして反発心。周囲の評価に対する強い思いは、すべての選手が一緒だった。
●今大会の結果で次のブラジル大会への期待が急速に高まるだろうが、そう簡単ではない。予選で敗退する可能性もある。西アジアの国々はブラジルやアフリカの選手を国籍変更させて臨んでくる。サウジアラビアやカタール、UAEなど、今大会を逃した国が巻き返してくる。
●守備は通用することが分かったが、攻撃はまだまだ。特にパスの精度が低い。FIFAの分析によると、各チームパス成功率は日本は最下位(60%)。1位のスペイン80%と比べて差が目立つ。弱点が数字ではっきり出たのはよかった。裏付けがあれば、強化できる。
●代表の強化には、まず個人のレベルアップが急務。20人から30人が欧州のリーグでレギュラーにならないといけない。オーストラリアは100人以上が欧州でプレーしているし、韓国も日本より多い。今大会のベスト16を次につなげるためにも、個を鍛え、協会ぐるみで準備をしないといけない。
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「運が良かった」と正直で謙虚なところがいいですね。 いや、プロの視点と言うことですね。運を呼ぶ、協会を挙げての努力があったからだとも思いますが、今後に益々期待いたしましょう。
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