国防省コストカット会見概要

Do more without more」~より以上のことを、追加予算無しで
carter.jpg28日、昨日ご紹介したゲーツ長官の前振りに続き、カーター国防次官(取得技術兵站担当)が「国防省の無駄削減」への取り組みと軍需産業への協力要請に関する会見を行いました。軍需産業幹部数百人には別の場を設けて会見前にその目的と方向性を説明し、国防省調達関係職員には全員にレターを送った模様です。
記者会見トランスクリプト)→http://www.defense.gov/utility/printitem.aspx?print=http://www.defense.gov/transcripts/transcript.aspx?transcriptid=4648
会見用資料(要旨パワポスライドと職員へのレター)→http://www.defense.gov/news/d20100628slidesletter.pdf
カーター国防次官の発言概要は・・・
CarterAsht.jpg●施策の目的は・・・
国防省年度予算総額約65兆円の中の、装備やサービス調達に関わる約36兆円に焦点をおく
予算の増額に頼らず、非生産的で価値の低い施策への予算を特定排除することにより、毎年2~3%の純戦力増強経費を確保する
●そのために目指す方向は・・・
・戦闘力増強に必要なものを提供する
・より高い購買力を獲得する
・軍需品の価格適切性を回復する
・軍事産業の生産性を改善すし、精力的で経済的に健全な産業を維持する。
・政府機関のぜい肉を取り除く
・研究開発の乱流・混乱を避ける
●軍事産業の効率性追求への動機付け
競争をテコにする。技術データの提供やオープンシステム設計により競争環境形成を支援する(悪例:海軍LCSやF-35の第2エンジン)
適切な契約形態を選択して開発・調達を行う。固定経費契約やコストインセンティブを指向し、過剰経費を政府と企業で同等に負担する(例:KC-X選定)
Carter2.jpg・サービスにも適切な契約形態を選択。時間や材料ベースでなく、結果評価による固定費契約を指向。競争を導入
・計画通りに開発が進んだ場合のインセンティブなどは事前の合意に基づき決定される。
・契約に際し、価値を生まない下請け業者管理費のような費用は認めない
小規模業者へ可能な限り参入機会を与える
・継続して優秀な業者には特別報償を与えることを考慮せよ。
●政府側も効率性を追求
・コストを適切に見積もり、その実行を管理する
調達関係職員を増加し、その能力も並行して向上させる。
会計監査の質と一貫性を改善する
新たな開発装備である、SSBN-X、大統領用ヘリ、地上戦闘車両、空海用長距離攻撃兵器体系などは、コストを念頭に置いて要求値やデザインを策定すること
開発計画責任者は装備の価格高騰を避けるため、各軍種長の了解無しに生産ペースを調整しない。
CarterAsh.jpg複数の開発計画が同様の目的追求をすることがないよう注意する
・高価な装備品の調達を改善するため、各軍種等に上級調達管理者を配置する。
高付加価値分野に絞り、継続的な投資によって技術基盤の将来を保つ。
●そのほか調達関係職員宛レターには・・・
・リン国防副長官は、必要な計画の効率化により目標削減額の2/3を捻出しようと考えている。
・コスト削減は一朝一夕に為しえるモノではない。しかし今後の新たな契約を中心に精査する。
・国防省だけでは目標を達成できない。産業界、非政府組織、そして議会の理解と協力が必要
「前線兵士と将来へ9兆円捻出」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「更なる削減案で空軍激論」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「もう次期爆撃機とは呼ばない」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26

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