12日、ゲーツ長官は海兵隊記念協会で演説し、海兵隊に対し21世紀の環境にふさわしい戦力組成について再検討するよう命じたことを明らかにしました。昨日は同演説から「率直な地域情勢認識」部分についてご紹介しましたが、本日は本丸である「海兵隊の将来像」に関してです。
その演説の中でゲーツ長官は・・・
●海兵隊は第2次大戦において、ガダルカナルからの反攻から沖縄戦までを勇敢に戦った、朝鮮半島では海岸、山岳地帯や塹壕で戦った、ベトナムでは田園地帯で、クウェート、イラクやアフガンでは砂漠で戦った。多くの戦いは海上から進出したが、それらの戦いは長期にわたる消耗戦的地上戦となった。
●米国は第2の陸軍を求めてはいない。むしろ迅速に展開出来て、短期間持ちこたえることが出来る戦力を求めている。
●将来を見通したとき、仁川上陸作戦のような大規模な着上陸作戦が実行可能か、との疑問を持つのは自然なことである。相手の接近拒否技術、例えば精密な巡航ミサイルや弾道ミサイルを考えれば、着上陸作戦の発起点は益々海岸から遠方に追いやられてしまうであろう。
「海兵隊は生き残れるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1
「海兵隊とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12
●米国は益々多様な脅威に対応しなければならないだろう。そのため軍隊は対反乱作戦から大規模紛争までのに等しく対応できなければならない。
●相手は米国の弱点を突いて来る。軍は非対称な脅威にいかに対応するかを熟慮しなければならない。そしてそのために、バランスのとれた視点から軍の任務を見つめ、将来に備えたバランスを兼ねし備えた軍を構築しなければならない。
軍全体が5度目の武装解除に直面しないように・・・
●米国は歴史上過去4度、つまり2次大戦後、朝鮮戦争、ベトナム戦争後に大幅な武装解除を行い、それは大きな間違いだった。911事案後、米国は特に情報分野で再軍備し強化を行ったが、その能力を将来も維持しなければならない。同じ過ちを5度起こしてはならない。そのために政府から与えられる1%の伸びに加え、自らの節減努力で必要な分野に3%の伸びを確保しなければならない。
●国防省は金食い虫と見られているのである。自らを正さなければならない。「Experience is the ability to recognize a mistake when you make it again.」との言葉があるが、後で気がついて5度目の軍縮を経験してからでは遅いのである。
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講演の後、ゲーツ長官は海軍特殊部隊SEALSや海兵隊の新兵訓練を視察しています。今後新しい改革の方針が打ち出されそうです。
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