海兵隊とAir-Sea Battle

marineIwozima.jpg新しい海兵隊司令官候補者への面接で、ゲーツ長官は次の質問をしたそうです。
「海兵隊は今や陸軍と同じ仕事をイラクやアフガンでやっている。海兵隊の存在意義と将来ビジョンについて君の考えを聞かせてくれ
「海兵隊は生き残れるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1  面接の結果、海兵隊の次期司令官にはパイロット出身者が史上初めて予定されています。
WorkNavy.jpgゲーツ長官による海兵隊への問いかけに、シンクタンクCSBA研究者から昨年9月に海軍次官に就任したRobert Work氏が挑んでいます
11日付「Defense Tech」の記事は、同サイト主催者の友人であるというWork海軍次官の取り組み状況を、同次官のCSICでの講演内容を交え紹介しています。
「Defense Tech」の記事概要は・・・
●ワーク次官は、これまで地上部隊の活動の前提であった航空優勢に代わり、戦闘ネットワーク優勢が重要だと考えている。この戦闘ネットワーク優勢(Battle Network Superiority)は航空優勢獲得より遙かに困難であり、これまでのNCW(Network Centric Warfare)とは前提を異にする。
marinecorps.jpgNCWではネットワークを味方が独占使用して優位を確保することが暗黙のうちに前提となっている。しかし今日では軽易に安価に敵もネットワークが形成できるため、ネットワーク世界での優位獲得競争が熾烈であり重要になる。
●今後海兵隊が着上陸した場合、敵が容易に入手可能な誘導ロケット、大砲、迫撃弾、ミサイルに対処しなければならない。陸上の例だが、2006年にヒズボラがイスラエル軍に対し、商用のシンプルなシステムで有効な偵察攻撃戦闘ネットワーク(Reconnaissance Strike Battle Network)を確立して効果を上げている。
●海兵隊は上陸戦闘車両(Expeditionary Fighting Vehicle)を推進しているが、軽易に入手可能な誘導兵器の前に有効だろうか。海兵隊が着上陸地点の安全を確保するためには、どれだけ遠方まで敵を制圧する必要があるのだろうか
●このような偵察攻撃戦闘ネットワークと誘導兵器は、中国が強力に推進している分野でもある。ゲーツ長官はこのような敵に対するとき、海軍は遠く沖合から作戦しなければならないと見ているが、WORK次官は敵の偵察攻撃戦闘ネットワークにある程度の被害を与えれば着上陸も可能だと考えている。
●そして海兵隊は将来、統合軍に対して戦域への入り口(theater entry)を提供する任務を追及すべきだと同次官は考えている。陸軍の空挺部隊もtheater entryを提供する部隊であるが、theater entry任務で上陸地点希近傍に航空攻撃を発起可能な飛行場を提供できれば空軍や戦術航空機にアピールできるだろう。
marine2.jpg●一方で、同じCSBAの別の研究者は拒否戦略ラインを単に突破することと、同ライン内で活動することは大きく異なり、後者が格段に困難であると主張している。前述の誘導兵器のほか、電波の使用制約、仕掛け爆弾等々、イスラエル軍がヒズボラに苦しめられた例をあげて難しさを強調している。
●このような困難性に加え、中国沿岸部のような都市化された地域に着上陸する作戦を、海軍や海兵隊がどのように計画するかについてはまだ聞いたことがない。WORK次官はそのスタッフと共に、今後の着上陸作戦の様相と偵察攻撃戦闘ネットワークが整備された要塞地域へのパワープロジェクションについて検討しているところである。その検討結果が待たれる。(以上が記事概要)
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CSBA理事長のKrepinevichは西太平洋地域を「地上部隊の活動を想定しない地域」と自身のレポート「Why AirSea Battle?」で表現しています。
また、同じくCSBAの研究者で、Air-Sea Battleレポートの補助著者であるJim Thomas氏は「Post Power-Projection Era」との表現で、パワープロジェクション側が益々困難に直面し、防御側が有利になるとの視点を提示していますが、同じCSBA出身者がその課題への対処を政権内で担当している構図になっています。
参考記事(Post Power-Projection Era関連)
「イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-01
しかし海兵隊の存在意義はどうなるのでしょうか・・・

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