(1/2)米無人機を改めて勉強

AFMagaz0910.jpgAir Force Magazineの9月号に「The Unmanned Tipping Point」との記事が掲載され、米軍における無人機の発展とその重要性と課題を4ページ渡って特集しています。
具体的な数字を使ってわかりやすい視点で解説してあるので、本日と明日の2回にわたって紹介いたします。
その発展の勢い
●1950年代から2000年頃までの間に、米国防省は2兆円強の予算をつぎ込んで無人機開発に取り組んだが、本格的に運用に長期間供しうる無人機を送り込むことは出来なかったと言っても良い。
●しかし今日、無人機の勢いはすさまじいモノがある。例えば2008年の無人機総飛行時間は、2002年の16倍に上っている。予算面で言えば、過去10年間の総経費の66%を空軍が支出している。
また国防省は今後10年で、数兆円を無人機全体に投資する計画を持っている
●現在米空軍は中・大型の無人機約180機を保有しているが、65の哨戒点でPredatorとReaperで連続哨戒が出来る体制の整備に向けて進んでいる。
陸軍・海軍の様子は・・・
陸軍は現在、計4千機の無人機を運用している。
●陸軍の保有・運用する無人機の運用範囲は
大隊レベル : 飛行時間2時間 距離15マイル以内
旅団レベル : 飛行時間10時間 距離78マイル以内
師団レベル : 飛行時間16時間 距離124マイル以内
海軍は海軍艦艇の射撃支援のため80年代に無人機を活用した。原則見通し線内での活用で、艦艇が発する電磁波の影響で運用の不具合が発生することもあった。
●現在はGlobalHawkを元にしたBAMS(広域海上監視)用の機体が生産を開始したところ。攻撃用として艦載の無人機N-UCASの開発も進んでいる。
最近の発達を支えたモノは・・・
globalhawk.jpgGPSの発達により、無人機が自分の位置を正確に把握できるようになったこと。また衛星通信の発達のより地球の裏側の機体の操縦や情報入手が可能になった。
●コンピュータとソフト技術の進歩 計算機の小形化が、高度な内容を小型の無人機に正確かつ効果的に実施可能にさせた。
●無人機自動化のレベルは9段階で評価されるが・・
Predator Reaperはレベル2(下から2番目)で、常に地上のパイロットが操縦する必要がある。地上との連絡が途絶えたら、連絡が付くまでホールドか母基地に向かって飛行継続
GlobalHawkはレベル4で、必要に応じプランの変更(高度・速度等)をコンソールに入力するだけ。後はプリセット通り。故障を自動的に判定し、任務の継続か帰投かを自分が判断し、最終的に着陸までする。
損耗率の減少
●無人なのでその分の安全係数が低く、機体の損耗率が高いのは事実であるが、著しく改善されつつある
predator.jpg10万飛行時間あたりの機体損耗率で比較すると、有人戦闘機は2~3である。初期のパイオニアは363、ハンターは1996年以前は255であった。初期のPredatorは43であった。
●調査によると、無人機で安価でもあったため機体の損失に執着が無く、同時に整備員や運用者の技量も未熟、更には部品不足が背景にあった事等が、損耗率の高さに結びついていたことが判明している。
●運用や整備のノウハウが蓄積された現在では損耗率は低下し、GlobalHawkでは有人のU-2よりも損耗率が低くなっている。
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それでは今日はここまでとし、明日は航続性能のすごさ、動画情報のインパクト、脅威下での運用と対処等々についてご紹介します。
(関連記事)
「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「米空軍無人機のゆくえ・前編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27-1
「米空軍無人機のゆくえ・後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-28
「米海軍航空戦力の将来・後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27

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