23日、ワシントンDCの新興有力シンクタンクCNAS(The Center for a New American Security)が予備役と州兵の今後のあり方について提言したレポート(An Indispensable Force: Investing in America’s National Guard and Reserves)の発表会を行い、国防省のマッキンリー州兵局長(海兵隊退役Gen. Craig McKinley, National Guard Bureau chief)がコメントしています。
レポートは→http://www.cnas.org/node/5012
シンクタンクCNASはオバマ政権後の国防省に大量の人材を送り込んだ新興シンクタンクで、国防省No3のフロノイ国防次官(女性:前CNAS理事長)及びその周辺スタッフは全てCNASからペンタゴンに乗り込んだ人々と言われています。
フロノイ次官の跡を継いでCNAS理事長に付いたJohn Nagl氏(若干42歳)は、陸軍士官学校出身の元戦車乗りでしたが、湾岸戦争後は研究部門で成果を上げ、イラクやアフガンでの戦訓をベトナムやインドシナでの陸軍の経験と共にまとめ上げ、2006年に改訂された陸軍と海兵隊のCounterinsurgency Field Mannualに結実させた人物です。そのマニュアルには「禅問答のような」・・「防御を固めれば固めるほど、危険は増す」等々の思想が表現されています。
(関連記事)
「禅の精神を陸軍海兵隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-05-24
前置きが長くなりましたが、CNASレポートは
●民間シンクタンクのレポートながら、予備役及び州軍諮問委員会のメンバー12名の承認を得たモノである。
●米国の総兵力の半数近くを占める州軍や予備役に対し、10年にも及ぶ戦争を経て政策担当者の配慮は格段に改善されつつある。しかしまだ十分ではない。
●戦時の経験が蓄積されているこの時にこそ州兵や予備役制度の改善に取り組み、その任務、態勢、コスト、教育訓練、装備、制度の継続性を重視した柔軟な人事管理等々の面で改革を進めるべきである。
●今や州軍や予備役は、戦時のみならず、平時のテロ対策、災害対処、国土安全保障、人道支援任務で必要欠くべからざる戦略的アセットである事を強く認識すべき。
●現在の予算は戦時に補正して増額する仕組みだが、平時から継続した基盤的予算を確保すべきである。
●装備品の観点から見れば、必要な装備品が25%も不足している。
マッキンリー州兵局長はレポートに関し・・
●シンクタンクと12名の諮問委員会のメンバーが「天体と月のような関係で作り上げたモノであり、実現に向けての力を感じる」と評価しました。
●近年、州軍に大量破壊兵器担当チームや民間支援部門が設置されたことなど、大きな変革に取り組んでいる。
●現在6万4千人の州軍兵が海外で正規軍の任務を支えている。
●レポートの大部分には賛同するが、全ての州兵や予備役に完全な装備を準備するという提案は現実的ではない。例えば普段の訓練ではシミュレーター等を使うなどして創造的な対応を考えるべきであろう。
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本分野は、日本では感覚的に理解が難しいところかもしれませんが、海に囲まれた日本で陸軍を15万人も常備軍として保有しておく必要性などあるはずもなく、州軍や予備役の制度を参考にすべきかもしれません。
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