先日、各社報道でゲーツ国防長官が1月中旬に来日する旨の報道がありましたが、その背景を臭わせる新聞記事がありましたので、「つまみ食い」してご紹介します。
産経新聞21日付1面記事
「同盟弱体化 第6部 新たな試練(下)」より・・・
●「(米国も)少しは譲ってほしい」、「譲歩すべきは日本だ」
●12月中旬、平成23年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する日米協議は、最後まで激しい攻防を続けた。14日夜、都内ホテルの和食店に10人近い日米協議メンバーが顔をそろえた。酒が入り顔を赤らめても冗談ひとつ出なかったという。
●これが日米安保条約改定50周年の最後となる協議の雰囲気で、当初年内にまとめる予定だった「同盟深化」の成果となる文書作成は後回しにされた。
●米側は1月中旬にゲーツ国防長官が訪日すると伝えた。日本側メンバーの一人は圧力を感じ取った。
●米軍普天間飛行場移設問題での打開策を求める強い姿勢だ。米側には普天間問題がこじれたままだと、在沖縄海兵隊のグアム移転費に関する米議会の削減圧力が強まりかねないとの差し迫った事情もある。
同紙20日付1面記事
「同盟弱体化 第6部 新たな試練(中)」より・・・
●新防衛大綱の実効性には疑問が多い。大綱で打ち出した「動的防衛力」に実効性を持たせるために必要な高速輸送艦の導入見送りがその象徴だ。
●日米同盟の視点でも新大綱の実効性に疑問符がつく。疑問符を余儀なくさせたのは、米軍普天間飛行場移設問題で迷走を続け、「同盟深化」を先送りせざるをえなかった民主党政権にほかならない。
●自衛隊幹部も「なぜ空中給油機と空中警戒管制機AWACSの追加調達や無人偵察機導入を見送ったのか」と首をかしげる。
●米軍の空中給油機は老朽化が進み、空自が機能をカバーすれば敵基地攻撃で相互性が増す。東シナ海で中国の海空戦力を監視するには、AWACSや無人機が有効で日米の情報共有の強化につながるからだ。
●「同盟で動的防衛力を機能させるには、憲法上行使できないとの集団的自衛権の解釈見直しが不可欠」・・元空将、織田邦男の指摘だ。
●「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の8月の報告書も解釈見直しを促したが、政府は無視を決め込んだ。そこには、政権交代に伴う表面上の防衛政策の転換を印象づけたいがため、報告書をつまみ食いした姿が浮かび上がる
//////////////////////////////////////////
「新大綱」決定後の防衛大臣記者会見でも、変化を打ち出した事への満足感が示されていますが、「報告書をつまみ食い」した感は否めません。
「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書関連
「北岡伸一・安保懇報告書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-0408-31
「安保・防衛懇「報告書」を見る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-31
「武器輸出3原則の偽善」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-2
Air-Sea Battle Conceptの背景には、つまり西太平洋地域における脆弱な米軍作戦基盤への危機感があります。脆弱なものとは、飛行場であり、衛星や通信を含むISR能力であり、指揮統制能力であり、飛行場不足から繰る空中給油能力不足でもあります。
従って、上記記事にある空中給油機やAWACSや無人偵察機の増加・導入は、経済が厳しい米国としては期待していた事項でしょう。
普天間との関係で言えば、産経とHolylandは見解が違います。
あえて違いを強調すれば、米側はグアムの脆弱性対策や、サイパンやテニアンの代替基地能力を高める為に必要な資金が必要なのであり、普天間問題はその道具に過ぎない、との考えに私は立っています。
軍事的にも社会的にも脆弱な沖縄から撤退したいとの考えも・・・
コメント