1/2米空軍レスキュー部隊の苦悩

HH60PaveHawk.jpg12月号の「Airforce Magazine」が「Personnel Recovery, in Need of Rescue」(人命救助任務に助けが必要なとき)との記事を掲載しています。
アフガンやイラクでの厳しい任務に挑みながらも、ゲーツ国防長官による改革や予算見直しを受け、装備品の損耗やトラブルに苦悩する米空軍の最前線レスキュー部隊(以下RQ部隊)の苦悩を、新レスキューヘリ導入の検討状況と合わせて伝えています。
本日は記事紹介の前半で、「現場の活動と航空機維持の苦労」について紹介します。
なおRQ部隊とは、前線の負傷者や撃墜され脱出したパイロットを、敵の攻撃の中から救出する部隊です。武装したヘリコプターに医療訓練も受けたパラシュート降下も出来る屈強な救助員を搭乗させて最前線に向かいます。
記事の概要は・・・
●イラクやアフガンの厳しい任務の中で、RQ部隊は少なくともあと4年は新しいヘリコプターを手にすることは出来ない。
HH-60G2.jpg●1982年から米空軍はHH-60 Pave HawksをRQ用に利用しており、現在は99機を運用している。当初112機保有していたが、イラクとアフガンでの戦闘で7機を失い、その他を含め現在までに13機を失っている
●2010年は9月上旬までの間に、イラクとアフガンで約6300ソーティーを飛行して1200人を救出した。同期間内に、20機が戦闘による被害を受けている。この原因は敵の攻撃によるモノと土煙の中(brownout conditions)で離着陸したモノを含んでいる。
●ACC司令官フレイザー大将は、「HH-60は予定の3倍以上のペースで飛行を続けており、燃え尽き始めている」と懸念し、ACCで担当部長(division chief for personnel recovery requirements)のギルク大佐は「激しい飛行をするだけでなく、米国内では経験のない地形、高度、そしてダストの中での飛行が大きなインパクトを与えている」と述べている。
●ACC(空軍戦闘コマンド)によると、HH-60の10月上旬時点での稼働率(availability rate)は60%以下である。100機以下のHH-60で絶え間ない出動要求に応えるため、よく似た部品を使用している陸軍のBlack hawkの大量の補用部品を融通してもらい、部品不足による非稼働を押さえている。
●空軍部隊の中でも戦地派遣期間比率が最も高い部隊であるが、隊員の職務満足度は高い。しかし同時に、RQ部隊員の在職率には注意が払われている。また、戦場配属期間が長い部隊であるが故に、適切な人間に高いレベルの職能訓練を受ける機会やボーナスを与えるように着意している。
HH-60G3.jpg補給所整備での不在期間を押さえることも課題である。600時間ごとに機体を分解整備する必要があるが、飛行時間の増加に伴い補給所での所在期間が増えている。
●HH-60の補給所整備を行うテキサスの陸軍施設に空軍の整備員等を派遣して整備期間の短縮に努力しているほか、教育用の整備ラインも活用して現場不在期間の短縮を図っている。
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「Airforce Magazine」は元々空軍応援団なので、ゲーツ長官の姿勢には批判的な記事が多いのですが、「人の命を救う」部隊の苦悩には考えさせられるところが多いです。
原文には、実際の作戦例なども掲載されており、なかなか興味深いです

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