米空軍内の操縦者養成数で、2009年頃から無人機操縦者の養成数が有人機のそれを上回る状態になっていることを何回かご紹介してきたところです。ただ、これまで無人機操縦者は全て有人機操縦者や航法士からの転職組でした。しかし、そんな流れが2011年から変わります。(左は無人機操縦者のバッジ)
21日付の米空軍HP記事及びAirForce Magazineの26日付記事によると、空軍士官学校や一般大学を卒業した「手垢のついていない(no bad habits to break)」ピカピカの新人士官を無人機操縦者に育てる教育コースが今月スタートしました。
担当の教官は「空軍の将来のための教育でもあるが、現場が今最も切望している要員を生み出す教育でもある」と養成の緊急性にも言及しています。
また「数ヶ月後には、他職域から無人機操縦者へ転換するルートはなくなり、我々が行う新人教育からのみ無人機操縦者を養成することになる。これは大きな施策であるが、この変革が迅速に進んでいる」と述べています。
8名の少尉が履修を開始したコースの概要は・・・
●最初、2ヶ月程度Initial Flight TrainingをPueblo, Colo.で
●その後、無人機の教育をRandolph AFBで履修
—有人機操縦者が4ヶ月半で行う課程を、2ヶ月半に短縮して実施
—T-6シミュレータを活用し、36時間の模擬フライトを実施。編隊飛行の科目はない。他に140時間の地上授業を行う。
–気象や航空機整備の科目は扱わない
—年間に10コースを設ける予定。ただし状況を踏まえ科目や時間配分は適宜変更を加えていく
–学生は毎日12時間の教育を受けるカリキュラムとなっており、他にない濃厚な教育コースである。自習時間は別途学生が捻出する。
●更に、より現場に近い教育をCreech AFB, Nev.とHolloman AFB, N.M.で実施
●そして実際の任務を3つのいずれかの基地(Creech, Cannon AFB or Whiteman AFB)で開始
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小さな記事ですが、その意味するところは限りなく「大」だと思います。
「大空へのあこがれ」や「パイロットのかっこよさ」が支えてきた空軍のよりどころが大きく変わろうとしています。テレビゲームの上手なモノが空軍の戦力運用の中核になるのでしょうか・・・。
「手垢のついていない」無人機操縦者はどのような顔つき、気質を帯びた人材に育つのでしょうか・・・興味津々です。
無人機関連の過去記事
「グアム配備 Global Hawk」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-21
「RQ-4で海空協力合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-05-1
「中央軍でRQ-4が3万時間達成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-21
「U-2が引退できない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-22-1
「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「米無人機の再勉強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-05
「米空軍無人機のゆくえ・前編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27-1
「米空軍無人機のゆくえ・後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-28
「米海軍航空戦力の将来・後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27
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