AirForce Magazineの1月号に「21st Century Rivet Joint」との記事が掲載され、電波電子情報収集機RC-135W(通称Rivet Joint)の任務の変遷、英空軍の同機導入の動き、将来の方向性について説明しています。
平たく言えば、RC-135は空中を飛んでいる広帯域の敵の電波を傍受、収集、分析、特定し、我の作戦に活用する任務を帯びています。なお、RC-135には多用な派生系(A~W型)があり、Rivet Jointはその代表的な型です。
非公開な部分が多い情報収集機ですので、このような特集記事は貴重と考え、ご紹介することにします。
まずRC-135の大まかな概要等・・
●B-707を改良した機体で、50年以上運用されている。現在米空軍ACC所属の第55航空団(55th Wing at Offutt AFB, Neb.)が17機を保有・運用している。
●世界中で需要があるため、英国、嘉手納基地、またイラクやアフガン任務のため湾岸の国に展開拠点を保有している。
●冷戦中はソ連を中心としたワルシャワ条約軍関連の戦略情報収集が主任務であったが、湾岸戦争を境に戦術任務が増加し、最近十年はイラク・アフガンの地上部隊を支える戦術任務が主流になりつつある。
4つの鍵となる任務
●伝統的任務の電子情報分析(signals intelligence)
●切迫脅威の警報(imminent threat warning)
●交戦中部隊の支援(support for troops in contact)
●救助任務の支援(Support for personnel recovery)
また、cross-cueingと呼ばれる手法で、他の機種や装備(F-15E, A-10, U-2, EC-130 Compass Call, and MQ-1 Predatorや地上・空中アセット)と連携し、目標を特定する戦術にも関与している。
英空軍のRC-135導入支援
●経緯・・・英空軍は運用していたニムロッド電子収集機の継続運用を考えていたが、2006年にアフガンで発生した爆発事故で方針変更、2008年に米空軍のKC-135をRC-135に改修して3機購入することに合意。初号機は2013年受け降り予定
●現在、英空軍の幹部約100名が米空軍オファット基地で教育を受けている。
●昨年英国政府は、4年間8%国防費を削減すると発表したが、RC-135に関しては「英国独自のグローバルな戦略情報収集能力を維持するために」(白書記述)削減対象にならなかった。
将来の希望や方向性
●ある見積もりによれば、今後30年間は改修を行いながら同機を使用する見通し。4年に一回行う18ヶ月間のオーバーホールにあわせ、装備の向上を実施予定。
●特に要望が高いのは、広帯域衛星通信システム(Wideband Global Satellite Communications (WGS) system)の導入により、空軍情報共有システム(DCGS:Air Force Distributed Common Ground System)にリアルタイムに分析した情報を提供すること。特にWGSシステムは、地上の分析センターと情報を共有しながら分析を即時に行える点で要求が高い。
●また作戦指揮の面では、非破壊系の攻撃を指揮統制するNonkinetic effects package commanderをRC-135に搭乗させて、各種のNonkineticアセットの行動を空中でリードしたいとの構想を持ている。
●本件に関し、今春のレッド・フラッグ演習で電子攻撃とISRを統括する役割を試す予定
「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1
/////////////////////////////////////
嘉手納に展開する場合は、恐らく中国大陸や朝鮮半島を探ってるんでしょうね・・・。今後も密かに活躍が期待されます。
この分野は、恐らく職人芸が今も脈々と生きずいているんでしょう・・・。だから英国も苦しい財布状況の中で維持を決断したのでしょう。
コメント