In recent weeks, there have been calls from various quarters for major reductions in defense spending, to include substantial cuts in modernization, force structure, troop levels and overseas bases. I consider such proposals risky at best, and potentially calamitous.(中略)
I look forward to working through this next phase of the president’s defense reform effort with Congress in the weeks and months ahead, to do what’s right for our armed forces and to do what’s right for our country.
ここ数週間、各所から国防費の大幅削減を求める声が聞こえている。軍の近代化、兵力組成、兵力数、海外基地等の大幅削減案で、よくて危険に満ち、潜在的に破滅的な案である。(中略)・・・
私は、我が軍と我が国にとって正しいことを成すため、今後数週間から数ヶ月の間、議会と共に次のフェーズである大統領の国防見直に取り組むことを楽しみにしている。
(以上は、1時間にわたる会見の最後の部分)
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6日、ゲーツ国防長官はマレン統合参謀本部議長と共に会見(国防省HP記事と発表原稿)に臨み、今後5年間で約14兆円の無駄経費削減案と削減分14兆円の中から約9兆円を必要な分野に再投資する計画案を発表しました。
昨年6月に議会で説明した約9兆円の無駄削減に約5兆円を上乗せし、最近ホワイトハウス周辺から聞こえる「7兆円を純減せよ」等の声に答える(対抗する?)姿勢を見せています。
米国防省HPの特集面
→http://www.defense.gov/home/features/2011/0810_effinit/
基本的には、長年積み上げられた無駄な経費、組織、研究開発計画を精査し、真にあり得そうなシナリオに必要な能力向上に再投資する計画案になっています。
(※基本的な考え方については、記事末尾の経費削減関連過去記事や数日前の記事http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-05でご確認下さい。どの新聞報道もピントがずれていますから・・・。)
申し訳ありませんが、会見の中で、削減の基準をどこに置くかによって種々な削減額が使用されており、holylandが十分理解できていないモノもありますのでご容赦下さい。また読み込みが足らない部分もあり、不正確な解釈もあると思います。なお、過去の流れから1ドルを90円と換算(端数は無視)しています。
冒頭のジョークは・・・「私の説明が長引く予定なので、マレン議長は待ち時間に読む本を持参している」でした。
ゲーツ長官の冒頭説明(25分間(A4×7枚))の概要は・・・
そろばん勘定の概要は・・・
●4軍種が9兆円(空軍3兆円、陸軍2.5兆円、海海兵隊3兆円)、更に国防省の全体施策でとして5兆円を、合計で14兆円を今後5年間で削減する案。
●昨年提出した国防費の5カ年計画と比較すれば、7兆円(日本メディア報道の純減額 780億ドル=約6.5兆円)の純減である。その内訳は、国防省の全体施策で5兆円、インフレ率や給与上昇率の見直しで1兆円、2015年開始の陸軍と海兵隊兵員削減で5千億、F-35計画の修正で5千億である。
4軍種削減分9兆円の再投資について
●4軍が削減した9兆円の内、2.5兆円は当初予期していなかったがどうしても必要な機能維持経費(住宅、医療、兵器維持、補給所の維持整備、基地機能維持、飛行時間、訓練費用)に使用せざるを得ない。
●残りの6.5兆円は各軍種が再投資する。その主要分野は・・・
空軍
リーパー無人機や無人攻撃偵察能力、宇宙とのアクセス装置(expendable launch vehicle)、F-15のレーダー近代化、新長距離突破爆撃機
陸軍
自殺防止施策、戦車・装甲車の近代化、戦術通信装置、無人機(無人ヘリを含む)
海軍海兵隊
電子妨害装置、海兵隊装備の更新、海上発の無人攻撃偵察機、F-18の追加購入、艦艇の追加購入(イージス、LCS、給油艦等)
BMD関連
長距離迎撃ミサイルと監視レーダー
では、どこを削減するか
●大型調達案件の見直し
F-35
空軍及び海軍用F-35は計画通り。遅延が著しい海兵隊用は、2年以内に当初コスト・性能・スケジュールに戻れなければ中止。海兵隊用の調達は後回しにするため、FA-18を追加購入
陸軍
SLAMRAAM地対空ミサイルと次世代ミサイル発射装置の中止
海兵隊
海兵隊の着上陸任務を否定するわけではないが、蓋然性と予算の配分優先を考慮しEFV(expeditionary fighting vehicle)は中止。
●国防省全体の施策・業務見直し
IT関連予算 → 各組織や組織機関が別々に独立したシステムを維持管理している無駄を廃し、統合する等してコストと脆弱性を克服する。この分野は検討不十分なので来月まで更に検討追加
部外契約役務 → 部外委託に頼りすぎている現状見直し。業務の見直し削減や正規職員での実施により、毎年1割削減を3年継続する。
職務ポスト数の固定削減 → 今後3年間職員ポスト数凍結 増加要求があった場合は、他を減らして充当
情報分析の重複削減 → 特に911事案以後、各地域に重複して配置されている対テロ分析員の精査と集中管理
高官ポストの格下・廃止 → 将官ポスト約100の廃止格下げ(総数約900)、文官高官ポスト約200廃止格下げ(総数1400)。狙いはよりフラットで機動的で効率的な組織作り
組織の見直し廃止 → 国防省内組織(IT関連と変革関連)やJFCOMの廃止(JFCOM業務の5割は近傍の他組織へ移管)
欧州コマンドの削減 → 関係同盟国との協議のため2015年までは具体的に削減等しないが、明らかに過剰戦力である。各軍種の司令官大将配置の格下げや司令部スタッフの削減を含む。
各種報告書の削減 → 約1/3の部内報告書(400種類)が無駄。4月からは2006年以前に命ぜられたレポートは中止。2月から全ての報告書は使用経費額を明示
●その他4軍種の削減案
空軍
空軍作戦指揮所の統合(米国内2カ所を1カ所に、欧州の2カ所を1カ所に)、3つの空軍スタッフの統合(consolidating three numbered Air Force staffs)、輸送コマンドの燃料消費削減、補給所業務の改善、通信施設の運営コスト
陸軍
組織の統廃合等により千名の削減、現施設維持による新規建設コスト削減、メールシステムの整理統合による経費節減
海軍海兵隊
陸上勤務者の削減と海上勤務への再配分、戦闘機・電子妨害機・偵察機の複数年調達による経費削減、各種艦艇等の配置人員見直し(disestablishing staffs)
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weeks and months ahead・・・政府や議会とやり合うと言うことは・・・2月退任は延期でしょうか・・・
(追伸)・・記者から同様の質問が出ていました。残念ながらゲーツ長官の回答は、短節に「NO!」でした。会見場内は爆笑・・・
辻褄の合っていない部分もありますが、全体の雰囲気をご理解下さい。ちょっと気になるのは、3つの空軍スタッフの統合(consolidating three numbered Air Force staffs)で、脆弱な日本の第5空軍も含まれるかも・・です。
空軍の長距離攻撃能力や海軍の空母艦載無人攻撃機が優先されているところも見ていただけるかと思います。
ちょっと疲れたので、9日からの訪中関連まではゆるい話題になりそうです。
長距離攻撃(LRS)システム構想
「序論:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本論1:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本論2長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1
「どんな兵器:Anti-Access対応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「もう爆撃機とは呼ばない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26
「空軍協会の航空宇宙会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-16-1
経費縮減関連
「ゲーツの取得開発改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「アイゼンハワー・ライブラリ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「続アイゼンハワー・ライブラリ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
「11万人削減案を長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26
「国防省コストカット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「兵士と将来に9兆円捻出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
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6日付「Defense Tech」のサマリー
→ http://defensetech.org/2011/01/06/gates-gets-out-the-knife-a-quick-look/
F-35B will go on a “two year probation” and move to the “back of the line” on development behind the “C” and “A” model. More F/A-18EF Super Hornets will be purchased and older F/A-18 Hornets will have their service lives extended for the Marine Corps to make up for the “B” delay or cut.
EFV is gone. Savings will be used to upgrade the AAV with more armor, better electronics and weaponry.
Army SLAMRAAM canceled.
The Non-Line of Sight Launch System gone.
Drawdown by 27K Soldiers and up to 20K Marines from end strength in 2015
● Air Force:
More Air Force Reapers.
More EELVs.
Modernize F-15 radars.
New long range nuclear strike bomber — that can be “optionally piloted.”
●Army:
More money for Army suicide prevention.
Modernize the Abrams, Bradley and Stryker vehicle.
More MC-12 surveillance aircraft.
Quicker development of Grey Eagle UAV.
Quicker development of vertical UAS.
●Navy:
More money for jammers.
More money to upgrade and refit Marine Corps equipment used up in war.
More money and accelerated development of an unmanned strike capability.
Life extension for 150 F-18s.
New ship classes, including a destroyer, LCS, oilers and ocean surveillance craft.
●Missile Defense:
More long range interceptors.
More radar sites in Asia, Europe and the Middle East.
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