4月13日のオバマ大統領発表:「変わりゆく世界における米国の任務、必要能力及び役割を根本的に見直し、2023年までの間の安全保障予算を約35兆円削減する」の衝撃以降初めて、ゲーツ国防長官が初の記者会見に臨みました。
巷の報道は「国防省は、大統領の発言が意味するところを理解できていない」等と伝えています。約35兆円のどれだけを国防省が担うかも依然はっきりしないようですが、既にかなり思い切った議論が行われているとのネット情報も見られます。週明けのごたごたの前に・・・。
21日の会見でゲーツ長官は・・・
●何でもありのこの世の中でも、私にとって最悪なのは、国防省がかつて1970年代や1990年代に経験した、全ての分野に渡る一律「X%カット」である。
●私は間もなく開始する包括的な見直しにより、更なる国防予算削減が及ぼす影響や結果をきちんと整理した上で判断を行いたいと考えている。
●私は削減のオプションとその結果、そしてその国家安全保障に与えるリスクを、最初に大統領へ、次に議会に提示したいと思う。もしあなたがこれだけ予算を削減したいなら、これだけの能力を削り、このような結果をもたらすであろう兵力構成になる等々である。
●予算の大幅な見直しには分析に基づいたプロセスが必要である。そこでは、将来の国家安全保障への脅威や挑戦、更には選挙民によって選ばれた代表者が決定する成すべき任務と不必要な役割等を踏まえたリスク管理が行われるべきである。
●我々は本件に関し、予算見直しの手法を議論する会議を一度持ったばかりである、どのようなアプローチを取るかは未定である。QDR策定の手順を参考にして、任務の縮小や兵力規模削減の影響を分析するとの考え方もある。
●我々にはどうしても行わなければならない投資がある。空中給油機、12年以上延命している水上艦艇、核戦略装備の更新、爆撃機、戦略原潜、地上発射ミサイルなどである。
●米国民には選択をお願いしなければならない。私は選択の枠組みを準備し、皆さんに戦略的な国家安全保障リスクや結果を理解いただいた上で選択願いたい。
同席のカートライト統合参謀本部副議長は・・・
●見直し検討には、重大な量及び質に関する戦略的思慮が求められる。
●長期にわたる見積もりや前提の変更を迫るもので、国防省が考える2つの地域紛争への同時対処も検討の対象になろう。
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20日にカーター国防次官(取得技術兵站担当)がヘリテージ財団で行った講演でも、「他省庁に先んじて、国防省は既に大幅に経費縮減を行っており、根本的に前提や任務を変更しない限り絞れる部分はない」とのトーンになっています。
もし噂通り7月にゲーツ長官が引退するとしたら・・・再び「一律X%カット」の「悪夢」繰り返しになるのでしょうか。
経費縮減関連
「14兆円精査案で政府議会と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07
「兵士と将来に9兆円捻出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
「11万人削減案を長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26
「国防省コストカット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「ゲーツの取得開発改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17