31日、ゲーツ国防長官とマレン統合参謀本部議長は上院軍事委員会の丸一日審議で証言し、対リビア作戦の状況と見通しについて語りました。米国防省HP記事より
「対リビア作戦については最終的に幾つかの結果が考えられ、その一つが民主的な国家である。その選択はリビア国民にゆだねられるべきであり、米国が追うべき責任ではない。また他にリードをとる国があるだろう。」と述べ、国家再建ミッションに関与すべきでないとの姿勢を明確にしました。
また同時に、「アフガンの他に、日本でも1.8万人が任務に就いており、現状でも予算について議会の協力が必要な状況である」と苦しい台所事情を議会重鎮に訴えることを忘れませんでした。
軍事関連の重鎮が居並ぶ軍事委員会で・・・
●NATOが作戦の指揮を執ることになっても、引き続き米空軍機は要請があればいつでも出撃できる態勢にある。ここ2日間は、悪天候のため航空作戦を実施できなかったため、カダフィー側が地上で反撃を試みている恐れはある。
●米軍のリビアでのミッションは、緊急避難的に、カダフィーによるリビア市民攻撃から国民の生命を守ることにあって、この部分の作戦は完了し成功した。
●アラブ諸国を含む20カ国以上の参加を得た多国籍軍は、国連決議1973を遂行するために作戦に参加し、米国軍が欧州や中東諸国軍と良好な関係を維持していることを示した。またスウェーデン等が今後の参加に前向きである。
●マレン議長は、「どの国もどの軍も、このような作戦を一国では実施できない」、「これは意志ある者の集まりでなく、能力を備えた者の(全ての)集まりである」と米一国の作戦でない事を強調しました。またNATOに指揮が移っても、作戦に影響を与えることは全くない、と断言しました。
作戦の拡大に関与しない
●反政府側を支援することは新たな決断を要する作戦である。我々は少しばかり反政府の指導者を承知しているが、彼らがどれほど反カダフィーに取り組んでいるかに次いで十分知らない。
●また反政府側に武器を提供したり、組織的訓練や指揮統制の支援をすることはより複雑な判断を必要とすることである。私とオバマ大統領は、そのつもりはない。
●議会の皆さんは何度も作戦拡大の可能性について質問されるが、私もマレン議長にもリビア政治体制の変更にまでミッションを拡大する考えはない。我々はカダフィー軍への空爆を続け、補給を断ち、逃げ出すしかないと思わせるように攻撃を続ける。
●私はリビアで作戦を逐次拡大することがないよう、肝に命じている。「我々は今、財政上の問題を抱えている。これ以上を依頼されたら本国に問題を持ち込むことになる。」、「アフガンの他に、日本でも1.8万人が任務に就いており、現状でも予算について議会の協力が必要な状況である」
カダフィー後が一番の課題
●リビアでの本当のチャレンジは、カダフィー後にリビアがどのような状況になるかである。米国とNATOは、リビアへの影響力について過信すべきでない。
●「対リビア作戦については最終的に幾つかの結果が考えられ、その一つが民主的な国家である。その選択はリビア国民にゆだねられるべきであり、米国が追うべき責任ではない。また他にリードをとる国があるだろう。」
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ベトナム戦以後、米国は次に起こる戦いを予期できたことは一度もない・・・と語り、多様な戦いへの備えを主張、「もう一度湾岸戦争型の通常戦争を」と夢見る軍人を治療不可能な「次の戦争狂」と切り捨ててはばからないゲーツ長官の議会証言でした。
写真左は、イタリアのAviano空軍基地に展開した米兵士の体育館宿舎
写真下左:作戦参加のカタール軍機 下右:出撃準備のハリアー攻撃機
統合参謀本部による対リビア作戦の会見模様
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