論争:空母はまだ有効なのか

USS KittyHawk2.jpg6日付「DODBuzz」が「Post and riposte in the great carrier debate」との記事を掲載し、中国の対艦弾道ミサイル開発が進む中、また厳しい財政状況の中、高価な空母は今後も有効な投資なのだろうか、との論争が始まっている様子を伝えています。
この議論はこれまでも何回か繰り返された議論のようですが、昨年5月にゲーツ長官が海軍協会で講演し、「対艦脅威が増す中、今後とも空母中心なのか再考すべき」と訴えたことで議論が再燃したようです。
勿論先月13日に飛び出した35兆円削減のオバマ宣言が拍車をかけた形ですが・・・
ゲーツ長官海軍協会講演など
「海軍海兵隊とも全面対決へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
「オバマ35兆円削減宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-05
ProceedCvrMay11.jpgDODBuzzの記事が伝えるところは・・・
海軍研究所発行の月刊誌「Proceedings」最新号が、中国の対艦弾道ミサイルが西太平洋地域の空母を攻撃できる能力を獲得しようとするこの時代、巨大空母の時代は終わりを告げた、との記事を掲載した。そして第3次世界大戦においては基本的に空母の出番はない、と論じている。
●同記事は更に、莫大な原子力空母建造費用と維持費が大きな問題であることにも触れ、強襲揚陸艦USS Makin IslandのようなVSTOL機やヘリ、可能であればF-35Bも搭載でき、海兵隊やブルーベレーとともに行動できるモノが好ましい、と述べている。
●しかし、空母が脆弱だとすれば、なぜ強襲揚陸艦はOKなのか?との素朴な疑問がわいてくる。そもそも、海軍が中国シナリオに必要な長距離飛行が可能でステルス性のある航空機を保有していないことと、空母の必要性をリンクして議論することがおかしい。
●また艦載無人ステルス機が登場したとして、空母無くしてどのように運用するのか?
USS KittyHawk.jpg●別の視点として、果たして対艦弾道ミサイルの登場が直ちに空母不要論に繋がるべきなのか?との疑問がある。アパッチ攻撃ヘリの登場で戦車が完全に無用の長物になったのか? 潜水艦の登場で水上艦艇が姿を消しただろうか? そんな単純な話ではないはずだ。
●依然として平時と有事の両方に、空母の存在が大きな力となる状況は多数存在するのではないか。まだまだ海軍関係者は議論を深めるべきである。
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USS Makin Island2.jpg月刊誌「Proceedings」の記事を読んでいないので、自分でも舌足らずな内容なのは分かっているのですが、それでも議論の概要は見えると考えご紹介しました。この記事は空母擁護派の方が書いたようですが・・・。確かに三陸沖に空母が登場した時は、心強かった気がしますが・・・
安全保障環境に改善の兆しが無い中での軍縮・・・特に一般民衆の軍事への意識が希薄化する中での予算削減議論は、今後どのような展開を見せるのでしょうか。

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