陸軍の将来のため(236歳の誕生日に)

「長く退屈なオペラの最終シーンで、観客が早く死んで終わらせてくれと思っているテノール歌手が、再び立ち上がってもう一曲歌うようなものだが・・・」
gatesarmyBD2.jpg14日、陸軍の236歳を祝うセレモニーがペンタゴンの中庭で行われ、ゲーツ長官がケーキカットとお祝いのスピーチを行っています。冒頭のジョークは、NATO国防相会議でも使用したとご本人が供述されています。
先日の「D-DAY」記念日にあわせるように、ノルマンディー上陸作戦での現場の工夫を例に、陸軍は今後も「過去に備えることなく」柔軟な組織であって欲しい。そのために、前線で経験を積んだ若者の力を組織に取り込んで欲しいと語っています。
デンプシー総参謀長に勤務を短くしてごめんと言った後・・・
gatesArmyBD.jpg●先日、アフガン滞在中にD-day記念日を迎えたわけだが、当時着上陸した連合軍を苦しめたモノに、仏海岸地域の土手付き生け垣(hedgerows)があった。連合軍の装甲車や戦車は、これを突き破って進撃するはずが、強固であるため乗り上げることになり、ドイツ軍の格好の目標となった。
●しかしこの時、陸軍第1兵站部隊は独軍が障害物として海岸に設置した鉄棒を材料に、たった48時間で約300個の車両用生け垣カッターを作成し、部隊に配布した。これがコブラ作戦の成功を支えたのである。
hedgerow.jpghedgerow2.jpgCutter.jpg
●このような突然現れる苦難や新たな環境を、階級に関わりなく発揮される、類い希な知恵と工夫と柔軟性で乗り越えてきたのが米陸軍である。
●911事案以降の地上活動で、前線の若きリーダーには重い責任が課せられている。我が部隊は展開初日から、複雑で流動的な環境下、多様な任務遂行を求められている。その任務は、時に学者であり、教師であり、警察官であり、銀行員であり、農民であり、技術者であり、相談役であったりし、多くの場合同時に複数の役割を求められている。
●そして彼らは苦労を重ね、この未知の任務に挑戦し成し遂げてきた。これが2007年には危機的であったイラク情勢を立て直し、アフガンでタリバンをその拠点から追いやったのだ。
●今や陸軍の真の挑戦は、この10年から正しい教訓を学ぶことである。これは、よく起こりがちな間違いだが、次の戦いが今回と同じようだと仮定することではなく、多様な経験を積んで柔軟性に富む若者の能力をどのように組織として取り込み、未知なる次の戦いに備えるかである。次の陸軍リーダーであるオディエルノ大将がこれを実行してくれると思う。
gatesarmyBD3.jpg●この機に改めて前線の兵士、ご家族、そして兵士を支える社会の皆さんに感謝したい。皆さんから現場の声を聞くことが何よりも役だった。パワポのスライドなんかよりもずっと。
●国防長官として皆の先頭に立てたことを人生の誇りとし、私は残りの生涯をかけて、君たちのために祈ることを誓う。
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最後の最後まで気持ちが切れませんねぇ・・。
まんぐーすは、アンコールで3曲ぐらい歌って欲しいと思いますし、個人リサイタルなんかも希望します。回想録なんかも・・・。
「正しい教訓を学ぶこと・・これは次の戦いが今回と同じようだと仮定することではない」
陸軍の将来を考えるシリーズ
「陸軍参謀長に与える課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-13
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
「陸軍の明日を指揮幕僚大学で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-08

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