ビンラディン殺害と中国の懸念

アジア安保の一大行事
2011シャングリラ・ダイアログを以下の記事でフォローしました
(ゲーツ長官の講演と質疑応答の概要も・・・中国美人通訳も・・)
   ↓    ↓     ↓      ↓
「米の動向:シャングリラ2011」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
Okazaki.jpg岡崎久彦氏のブログ「世界の論評批評」の5月3日と6日記事で、オサマ・ビンラディン殺害後を論評した分析が掲載されました。
世の中では一般に、ビンラディン殺害で復讐に立ち上がるアルカイダとか、元々ゆるい結合組織なので関係ない等々の論調が目立ちますが、少し違った視点でアプローチされています。
こんなモンじゃないのかな・・・と感じるところがありましたので、ご紹介します。
1 こんな事はいつまでも続かない・・・
●テロが起きる可能性は確かにあり、従って、今後も注意が必要なことは言うまでもありません。ただ、こんなことが何時まで続くだろうかとは思います。思い出されるのは、かつてロッド空港で日本人岡本某が虐殺事件を起こした時の、「アラブ人は卑怯者だ。自らは生命の危険を冒す勇気が無い。だから、神風の伝統のある日本人を使ったのだ」というイスラエルの新聞評です。
osamaDODbanner.jpg確かにその頃のアラブ人にはそうした雰囲気はありませんでした。ところが、そのアラブが、その後、世界中で捨て身のテロを行っています。だから、テロリズムはイスラム・ジハーディストの本来の属性だ、というような議論には疑問が持たれるのです
●また、岡本の行動も、神風特攻隊の影響も無くはないかもしれませんが、もっぱら1970年安保当時の日本の若者の反体制的ロマンティシズムの影響を受けたものであり、今の日本の若者の間にそうした風潮は全く残っていません。
●そう考えると、希望的観測かもしれませんが、ビンラディンの殺害が契機となって中東アラブ世界の雰囲気が変わり、イスラム・ジハーディズムの情熱が、「アラブの春」の情熱に取って代わられるという見方が正しいということになるかもしれません。
2 中国が慌てる(注目が中国に戻ってくる)
chinacyber.jpg●中国専門家John Leeが、中国はビンラディン殺害でショックを受けている。これで米国はいよいよアジアに注意を向けるようになるからだ、と論じています。
●すなわち、中国は以前からアジアの民主主義諸国による中国包囲網が形成されつつあり、中国はアジアで孤立してしまうと怖れていたが、ビンラディン殺害でいよいよその思いを強めている、
●2001年のブッシュ政権発足の頃は、米国が今後長期的に直面する脅威は中国だということは常識でしたが、その年の9.11で事態は一転、米国にとって脅威はテロだということになり、中国は、10年近く一息つくことが出来ました
●しかし、中国の軍事力増強は到底無視できないものがあり、2010年ごろから中国脅威論が高まって来た中で、テロ問題が一段落すれば、もろに中国脅威論になるだろうと身構えるのは当然の反応と言えるでしょう。
例えば、人民日報の姉妹誌、『環球時報』の社説は、
chinaFlag.jpg●アジアの民主主義国は中国経済の興隆から利益を得ようとする反面、戦略的には中国を警戒して、米国寄りになっている
●米国はアジアで国境問題を持っていない
●域内国ではない米国は、アジア諸国と同盟で結ばれており、それが各国から相互利益として容認されていることがかえって強みとなっている、等の戦略的利点を持っている。
●その中で、米国がアジア諸国と民主主義の親分子分関係を作り上げ、米国の優位が進捗するのを中国は腹立たしい思いで見てきた。こうした体制が続けば、中国はアジアで真の友人はミャンマーと北朝鮮だけの戦略的一匹狼に留まることになる。
/////////////////////////////////////////
「暴露ビンラディン作戦細部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
中国の新聞がビンラディン殺害を米中関係の危機として捉えているという指摘は興味深いものがあります。
そういえば、内モンゴル自治区での暴動や鎮圧活動がプレスの注目を集めるようになってきました
米中関係時系列整理
「中国軍トップ訪米と美人士官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「米中戦略経済対話と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「フロノイ次官の会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-12
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10

タイトルとURLをコピーしました