16日付時事通信電子版(8時47分配信)によれば、米ロッキード・マーチン社が15日、FX候補機に挙がる次世代ステルス戦闘機F35の生産工場を日本メディアに公開したようです。
この報道は本当に「臭います」。多額の金が動く戦闘機の機種選定につきものの・・・それにしてもロッキード(防衛省と空自もか)は旨いところを突いてきました。
記事によれば・・・
●公開されたのは、レーダーに探知されにくいステルス戦闘機F22やF35を生産するフォートワース工場(テキサス、従業員約15000人)。
●F35共同開発に参加する9カ国の国旗が掲げられた工場内では、英国やオーストラリアなどの参加国が分担した機体の各パーツが集約され、生産ライン上で組み立てられていた。
●レーダー反射を抑える滑らかな機体を製造するため、機体外板の穿孔(せんこう)作業は90%自動化。レーザー光線を使って胴体と翼などの結合部に誤差がないか確認しながら作業を進めていた。
ジョージ・スタンドリッジ副社長は・・・
●2016年に完全な戦闘能力を備えたF-35を日本に引き渡せると述べ、FXの納入条件を満たせると強調した。
●F35の組み立てラインを日本メーカーと共同で日本に設けることを提案。
●F2戦闘機を三菱重工業と共同生産した実績を強調し、「日本がF35を選択すれば、ステルス機の生産工程を通じて、日本の航空宇宙産業を発展させることにつながる」
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正直に申し上げて、上記の報道(ロッキード関係者の発言)をまんぐーすは言葉通りに受け取れないと考えます。日本のF-X選定と国内防衛産業の苦境に配慮した防衛省と空自がロッキードに言わせたのではないか、とまで勘ぐってしまいます。
「空海軍用F-35は2017年以降」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-24
・・・でご紹介したように、F-35の運用開始については米関係者さえも以下の如く不確かな発言をしている状態です。
共同開発国でもない日本に2016年引き渡しなんて・・笑ってしまいます。1機だけ引き渡すのかな?(笑) 足下見られてますねぇ・・・。
4月7日、シュワルツ空軍参謀総長(下院の軍事関連公聴会)
●空軍は、2017年後半(Late 2017)に「恐らく」F-35Aを初めて戦闘可能態勢に置くことになるだろう。
●開発計画の再構築以前は2016年4月を予期していたが、主にソフトウェア開発の問題により遅れることになる。
●本年1月ゲーツ国防長官が、開発と試験を動じ並行的に走らせるのは開発リスクと無駄投資になる可能性が高いため計画の再見直しを行うと発表していたところである。
●試験の進捗は順調であるが、個々の各部位を総合的にインテグレイションする過程が開発期間を左右している。
(ただ、空軍関係者の中には約2年間遅れ、2018年になるであろう、と語る者が多い。)
4月22日、F-35開発責任者バレット中将(記者会見で)
●作戦での使用が可能かを最終的に判断するのは空軍であるが、私はF-35Aが2016年に使用可能になるとは考えにくいと思う。
●昨年来実施してきたF-35の開発期間とコストを再検討する技術的基礎見直し(technical baseline review)によれば、海空軍両方にとって2016年のカードはないと思う。
●基礎見直しの結果、開発試験が終了するのが2016年であり、海空軍が受領後の訓練期間を考えると2016年は現実的ではない。
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5月末、営業担当副社長のSteve O’Bryan氏がインタビューで
「F-35輸出商売は好調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-27
●F-35のオリジナルのパートナー国であった8カ国(Australia, Britain, Canada, Denmark, Italy, the Netherlands, Norway, and Turkey)からは、約700機の受注を見込んでいたが、他に興味を示す国が増えてきた。
●サインしたか又は強い興味を示している国として、イスラエル、日本、シンガポール、韓国、スペインがあり、これらの注文予想機数をあわせると、パートナー国8カ国よりも多くなる見込み。
上のように営業関係者は強気一辺倒・・・。この様子をみて、恐らく頭に来た韓国軍は、次期戦闘機の候補にロシアのPAK-FAを含めて米側を牽制したのだと思います(推測)。豪も国防相自らがワシントンに乗り込んで強気の姿勢を表明してますし・・・
●韓国、せめてもの反撃
「韓国がロシア戦闘機を候補に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-22
●豪も真剣に考え始めました
「豪は14機のみ購入確約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-27
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先頃防衛省が公表した「防衛力の実効性向上のための構造改革推進ロードマップ」・・横断的な視点による資源配分の一元化・最適化・・言葉が踊ってますね・・・
出るのはため息ばかりですねぇ・・・。
生産ラインも「ブラックボックス」だらけでは・・・米国にも日本の戦闘機命な輩にも、だまされないように!
戦闘機時代の終焉関連
「デプテューラ去る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24
「米空軍F-15続々前線撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-28-1
「米空軍の戦闘機削減が本格化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-28-1
「米空軍OBが断末魔の叫び」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-05-1
「英国も戦闘機削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03
「イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-01
「空自OB FXはステルス無しでも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-16
「空軍は単に飛んでいたいのか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02