5日、パネッタ国防長官は就任後の部隊視察の一環として米戦略軍(Strategic Command)司令部を訪問し、ブルーフィングや主要幹部との会議を終えた後、勤務する兵士を集めてスピーチしました。
パネッタ長官の部隊勤務兵士に対するスピーチをご紹介するのは初めてですので、国防長官個人の考え方が出ている部分をメインに最後でご紹介します。
その前に、スピーチの中心は当面の課題
●第一に、911事案以降我々が取り組んでいるテロの脅威との戦いである。アルカイダの力を弱めるよう引き続き取り組んでいく。情報部門との連携で大きな成果を上げてきたが、更なる努力が必要
●第2に、2つの戦争、つまりイラクとアフガンでの戦いで我々の目標に向かって前進しよう。これまでの犠牲を決して無駄にしてはならない。
●ならず者国家の動向から目をそらしてはいけない。北朝鮮やイランは、国際社会の警告を無視して核開発を行い、全世界の脅威となっている。
●サイバー戦は、次の真珠湾攻撃となりうる。この影響は軍隊のみならず、我が社会の基盤である電力や金融機関や政府機関をマヒさせる恐れがある。防御と攻撃の両面で我々は備えなければならない。
●ライジングパワーの台頭にも直面している。我々は世界に戦力投射が可能な状態を保ち、常に彼らをチェックし、米国が最も強く最上の軍を持つことを彼らに知らしめる必要がある。
●もう一つ最も重要なことは、君たちや君たちの家族が、君たちが任務を遂行するに当たり、必要な支援を受けられる状態にあることである。
そして、予算削減に関して
●我々国防省は、政府の一員として政府が取り組む支出見直しに貢献しなければならない。
●これまで議会から示されてきた目標の数字に対し、我々は先行的に検討を行い、決して追い立てられてはいない。そして国を守る責任を果たしつつ対応可能であろうと考えている。
●しかし昨日持ち上がった、これまでの数字を倍増するような議論には付いていけない。責任を持って国防を遂行することは出来ないし、「空虚な軍」を許容することは出来ない。
(なお、4日の初の記者会見でパネッタ国防長官は「safely cut $350 billion over the next decade」でもそれ以上は「dangerous and harmful」だと→http://t.co/jaLkBdq)
本題のパネッタ長官の信条は・・・
●私の両親はイタリアの貧しい地域からの移民である。父に、何の取り柄もないのに、リスクを犯してはるばるなぜ米国に移民してきたかを問うと、こう答えてくれた。母親と子供達に良い生活をさせてやりたかった。そのチャンスが米国にはあると考えたからだ。
●私もそう考えている。子供には良い環境を与えてやりたい。そして私の子供にもそのように考えてもらいたい。多くの人は自分の子供達に良い暮らしを、と望んで頑張っているのだ。これがアメリカンドリームの原点である。
●そしてその鍵が公務に尽くすことである。私の両親は常に子供達に、チャンスを与えてくれたこの国に何かの手段でお返しをしなさい、と説いてきた。これが私の考え方の原点(inspiration)の一つである
●もう一つは2年間の陸軍での勤務経験である。この間に私は公のための仕事がどのようなモノかを感じることが出来た。そして最後は当時の若き大統領の言葉、「米国民よ、国が国民のために何が出来るかを問う無かれ。国民自身が国のために何が出来るかを問うべきである。」が私を考えさせてくれた。
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「議会承認を求めて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
当面の課題は、優先度順に発言でしょうか・・・中国は最後の方ですねぇ・・・。
パネッタ長官のご両親とのやりとりは、議会承認を求める上院軍事委員会に出席の際も話が出ていました。
史上最高齢でこの激務に就く決断は、最終的にこのような使命感に裏打ちされているのでしょう・・・。読者の皆様の中には、移民の子であるから米国への忠誠を明示する必要があるのだ、とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、まんぐーすは使命感だと思います。
まんぐーすなら絶対引き受けません。こんな時期に国防長官なんて・・・。
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09