7月28日までの3週間にわたり、米豪軍が大規模な共同演習(Talisman Sabre 2011)を豪大陸各地の演習場等で行いました。
日本の煮え切らない態度と中国のミサイル攻撃に対し脆弱な地理的位置を受け、米国が豪との連携強化を図るのはアングロサクソンの血縁だけが理由でなく、軍事的合理性に基づくものです。
その演習の内容は、中国対応を意識したものから、地域の災害対処や人道復興支援を含めたものまで、極めて多様な内容だった模様です。
その概要をAirForce Magazine(1日付DA)、米空軍HP及び豪国防省HPより
●演習には、米側から14000名、豪から8500名が参加した。2年に一度実施することになっている演習。
●同演習は、両国軍の共同統合軍としての作戦能力と相互運用性を検証して訓練し、通常戦闘から平和維持活動や災害対処等の多様な任務に対応できるよう備えるもの
両空軍は主に・・・
●両国空軍の兵士は、豪のWilliamson飛行場に緊急展開基地を設置する訓練を行った。航空作戦センターや居住施設を含む施設準備のほか、基地の防御訓練も共同で行った。更に共同で基地維持のための空輸や重量物資の空中投下、航空機の緊急避難等を実戦に則して訓練した。
●豪空軍から参加した第381展開戦闘支援隊は「我々が経験したことのない航空作戦センターの運用や維持についてのノウハウを持ち帰ることができる」とのべ、米側の第36緊急対処群は「豪が保有する食事、シャワーやトイレを長期間提供できる能力に助けられた」と相互補完が出来たと語っています。
その他演習では
●海兵隊第31展開部隊は、上陸用舟艇15隻と海兵隊員約350名でクイーンズランド海岸への着上陸訓練を実施し、その後、市街地戦闘訓練、落下傘降下による潜入訓練、難民キャンプ運用訓練を実施した。
●人道支援や災害対処訓練は、豪の多様な政府機関や民間団体も参加して実施された。(最後にたった25文字で)空対空戦闘訓練も実施された。
//////////////////////////////////////////
豪に空軍の緊急展開基盤を設ける訓練が行われていますが、日本や韓国やグアムの米軍基地が被害を受けた場合を想定してのもので、これまでは全く考えられなかった訓練です。
今後在日米軍基地では、米空軍機の緊急避難訓練訓練が頻繁に行われることになるのでしょうか・・・・。
それにしても・・航空自衛隊が横田基地に部隊を移転させ、共同運用の強化を図りたいようですが、米軍は有事の際、早々に後方へ移動するのではないでしょうか? 形ばかりの残留隊員だけを残して・・・。 空自は的外れなことをやっているような気がしますねぇ・・・。
敵の攻撃を生き延びるには、複数の指揮所を持っていた方が良いのに。中国に「横田を狙って下さい」とお願いしているようなもの・・・。
日本の脆弱性を見据えた動き
「豪でのプレゼンス等を強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「前対中国で北東から南東アジアへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-03-1
「後対中国で北東から南東アジアへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-04
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09